時の渦に呑まれし者:後編
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ノアの??。お前さんは、風の噂で聞いた魔物に滅ぼされたユグノアの生き残りかの?」
「あーう、うーあ??」
老人の腕の中の赤ん坊が青年のジュイネに両の手を向ける。
「おぉ、どうしたんじゃジュイネ??。そこのサラサラな髪をしたお兄さんに挨拶したいのかの?」
老人は赤ん坊を抱いたまま、ジュイネに歩み寄る。
「この子を、抱いてみてやってくれんか。お前さんに興味津々のようじゃからの」
「う、うん??(まさか、赤ん坊の頃の自分を抱くことになるなんて)」
赤ん坊は嬉しげにジュイネの腕の中でキャッキャしていて、その小さな左手の甲にはしっかりと勇者の紋章が刻まれている。
(僕にはもうアザは無いけれど、この子には僕と同じような思いはしてほしくない??だからこそ───)
「お前さんも、ジュイネなんじゃろう?」
「え??」
「この子をここで拾ってまだ間もないが、わしには解るんじゃよ。お前さんはわしの知らない未来の、立派に成長したジュイネなんじゃとな??」
「テオおじい、ちゃん??っ」
優しい眼差しを向けられ、堪えきれずに涙するジュイネ。
「ジュイネ??赤ん坊は一旦俺に預け、テオ殿と抱擁を交わすといい」
「うん??!」
ジュイネは赤ん坊の自分をグレイグに預け、暫くの間かつての育ての祖父のテオに抱きつき色んな思いが涙となって溢れ嗚咽をもらす。
「おうおう、随分辛い経験をしてきたようじゃのう??」
背中を優しく摩ってくれるテオ。
「???ふえぇ~~~っ」
「な、なんと??さっきまで大人しかった赤ん坊のジュイネまで泣き出してしまった??!?」
慌てふためいてしまうグレイグ。
「そこのお前さん??慌てずに面白い顔でもして赤ん坊のジュイネを笑わせてみてくれんかのう?」
「わ、笑わせると言っても??」
「ベロベロバーじゃよ、ベロベロバー!」
「ベロベロ、バー?? べ、ベロベロバーッ!」
グレイグの渾身の変顔に赤ん坊のジュイネは一瞬きょとんとしていたが、途端に笑い出して泣き止む。
「??ははっ、グレイグが赤ん坊の僕をあやしてるのが何だか可笑しいや」
「ハハハ、お前も泣き止んで笑っておるではないか。??頼もしい仲間を連れているようで安心したわい」
「うん??ほんとはもっと居るんだけどね」
表情を曇らせ、抱きついていたテオから離れるジュイネ。
「そうかそうか??。ここまで来るのに、色々疲れたじゃろう。家でゆっくり休んで行きなさい、お前の育った故郷なんじゃからな」
「え、でもペルラ母さ
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