時の渦に呑まれし者:後編
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く構わん」
腕を軽く切り裂いて鮮血を滴らす。
「????」
「さぁ??飲め」
「ん??っ」
半ば強引にグレイグの滴る生き血を押し付けられ飲まされたジュイネは、再び消え掛かった身体の存在を取り戻してゆく。
「はぁ??、何だか本当に吸血鬼にでもなった気分だよ??」
複雑な気持ちで口元の血を拭うジュイネ。
「お前のように自分から血を欲しない吸血鬼など居るのか? それにホメロスが言っていた生命力の強い俺の血でなければ、お前の存在を留められないのだろう。??大体お前は俺から言われなければ口にしようとさえしない。それとも、俺の血は不味いのか?」
「そんな、こと??美味しい、っていうのも何か違うし??」
「ふむ??まぁいい。イシの村に着くまでは、今の内に出来るだけ身体を休めておけよ。それと、俺が気付く前に自分が消えそうだと思ったら、お前から血を欲してくれて全く構わんから遠慮なく言ってくれ」
「う、うん??分かった、よ」
──────────
───────
翌日、ほぼ人気の無いイシの村への道中、不意に現れた中年男性に声を掛けられる。
「おや、あんた達??よくこんな渓谷まで来たもんだな。旅人さんかい?」
「まぁ、そんな所か」
「絶景を求めて、二人旅をしてて??この先に休める場所などありますか?」
「あるにはあるが、静かに穏やかに暮らしてる人らが多いもんだからあまり口外してほしくなくてな??。それを守れるんだったら村に案内するが、どうするかね?」
「大丈夫です、僕らは絶景さえ見れればそれで満足ですから」
「そうかい、なら神の岩がおすすめだな。村は渓谷の分かりにくい場所にあるが、村に着いたらさらに奥地にある神の岩を登るといいさ。あそこはまさに絶景だからなぁ。もうひとつ、イシの大滝もあってそこも中々の絶景だ」
「先に、イシの大滝に行ってみたいと思います」
「ならそっち側の短い洞窟の先だな。村へはあっち側の吊り橋の先にあるから、気を付けて来るといいさ」
「はい、ありがとうございました」
「??何故先にイシの大滝なのだ?」
「行ってみれば、分かるよ」
─────────
「おうおうジュイネや??やはりお前はここが好きなんじゃな。さっきまで泣いていたのに、もう泣き止んで笑っておるわい??ハハハ」
「(老人が抱き上げている赤子は、まさか??)」
グレイグは目を見張り、ジュイネは一心に老人を見つめている。
「ん??? お前さん方は───」
「????」
「その兵装は、ひと昔前のユグ
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