時の渦に呑まれし者:後編
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確には、もう一人の赤ん坊の僕がこれから育つイシの村に向かおう」
「イシの村、か??。デルカダール地方にそのような村があるとは知らなかったぞ」
「それはそうだよ??上手い具合に人目につかない渓谷にある村だから。そこで赤ん坊の僕は、テオおじいちゃんに拾われてるはずなんだ。そうじゃなきゃ、困るけど」
「その育ての親のテオ殿に、お前は未来から来たと名乗るつもりなのか?」
「名乗らなくても、逢えば多分??分かってくれると思う」
「余程信頼関係が築けているのだな??お前の元の世界でも息災なのだろう」
「ううん、僕を拾った時にはもう結構な歳だったから??七年後くらいには亡くなってしまって、それからはテオおじいちゃんの娘のペルラ母さんに女手一つで育ててもらったんだ」
「そうだったか??。むッ、魔物だ気を付けろ!」
「え??うわっ」
「ぬんッ」
忍び寄って来た複数の魔物を大剣で一刀両断するグレイグ。
「大丈夫かジュイネ??、夜の平原は魔物が凶暴化しているから気を付けねばな」
「う、うん??ありがとうグレイグ。イシの村は、デルカダール王国からずっと南下した渓谷にあるんだ。案内するよ」
「うむ、なるべく暗い内にデルカダール王国から離れておくべきだろうしな??。しかし、我が王がバンデルフォンとユグノアを滅ぼした元凶に取り憑かれていると判っていて国を離れるなど??」
「ごめん??未来からやって来ておいてすぐに助けられないのは、僕のせいだ」
「お前が謝る必要はない、そもそも王や国、世界を救う為でもあるのだ??俺とお前のこれからは」
「うん??」
暫く進んだ後───
「キャンプ地があるな??ここで一旦休むとしよう。女神像が傍にあるから、魔物が寄ってくる心配もないしな」
「???っ」
「お、おいジュイネ、しっかりしろ??!?」
急に倒れ掛かるのを咄嗟に支えるグレイグ。
「お前??また存在が消え始めているぞ。俺の血が、必要なようだな」
ジュイネを支えたまま剣を抜き自分の片腕に宛てがう。
「グレイグの、血を飲んで生きながらえるのは??何だか、違う気がするんだけど??。やっぱり、このまま僕は消えた方が───」
「何を言う、ホメロスとの約束を忘れたか? ウルノーガを討つ確たる力を持って城へ戻るのだ、それまでお前に消えられては困る」
「じゃあその、ウルノーガを討つ確たる力さえ見つかれば??僕は、用済みになれるんだね??」
「そうではない。??言ったろう、共に生きていく方法はきっとあると。その為に、俺の血がこの先もずっと必要ならば俺はそれでも全
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