時の渦に呑まれし者:後編
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ある日、黒い太陽が現れた。邪神なるものがこの時になって復活を果たしたという。その邪悪なる神を倒す為に勇者とその仲間達は奮闘し、討伐に成功する。
??勇者の仲間の一人であり、勇者の盾となったデルカダールの将軍グレイグは、時折イシの村を訪れ神の岩に登る。その胸元には肌身離さず、もう一人の勇者がかつて持っていたユグノア王家のペンダントを忍ばせ身に着けている。彼の存在を決して、忘れぬように。
グレイグは不意に思い出す。赤ん坊から勇者の紋章を借り受けた際に、ふとジュイネが口にした言葉を。
『僕の願いも届くなら、もう一度───』
(友を失わずに済み、かつての俺の願いはお前のお陰で届いた。お前の願いも、届いたのだろうか??。もう一度、お前の望む俺に??逢えただろうか)
グレイグ、と背後から声が掛かる。そこにはかつての同じ姿をした“彼”が居た。
「後を追って来ちゃったけど、邪魔だったかな。いつも、グレイグは一人で神の岩に登るから」
「邪魔な訳がないだろう。ただ、そうだな───ジュイネ、歌を歌ってくれないか。ユグノアの??子守歌を」
「僕がロウじいちゃんから教わった子守歌だね。グレイグ、好きだよねユグノアの子守歌??どうして?」
「16年前??滅ぼされたユグノア王国の生き残りの者から聴かせてもらった事があってな、忘れられぬのだ。お前とよく似たその声音で??何度だろうと、聴かせてほしいのだよ」
グレイグの言葉を受け、ジュイネはグレイグの隣に立ち、ユグノアの子守歌を静かに口ずさんだ。柔らかな風が、二人の間を吹き抜けていった。
end
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