時の渦に呑まれし者:後編
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??少しでも気を抜けば闇に染まり兼ねなかった。お前達が確たるチカラを持って来るのが遅れれば、オレは完全に闇に魅入られていたかもしれん」
「ジュイネのお陰だ??赤ん坊の勇者の紋章を借り受け勇者の剣を授かり、確たるチカラを持ってしてウルノーガを倒せたのだ。無論ホメロス??お前が隙を見てウルノーガに反撃を加えたのも大きい」
「約束したろう、己の闇とウルノーガのもたらす闇に屈しないと。??それにオレ達は双頭の鷲、共にデルカダールの未来を担うのだからな」
「あぁ、そうだとも??!」
「───所で先程からジュイネの姿が見えないが、どうした?」
「む? 確かに??王を自室に運び込むまでは近くに居たはずだが」
周囲を見回すグレイグ。
「勇者の紋章のチカラで、お前の血は必要としなくなったのだろう?」
「そうなのだが??(何だ、胸騒ぎがする)」
「??ジュイネはこの件が済んだら、どうすると言っていた??思い出せ、グレイグ」
「───ここでの役目をすぐ終わらせたら、必ず紋章を赤ん坊に返す、と??その前に、用が済んだら勇者の剣を命の大樹に戻すとも、言っていたな??」
「それの意味する所が、判るだろうグレイグ」
「くッ、今すぐジュイネを追わねば! あいつはルーラを使えるのだ、瞬時に命の大樹へ勇者の剣を戻しに行った後イシの村に向かったに違いない! 何故一言も言わずに俺達の前から姿を───」
「??お前の生き血で、生き長らえるつもりはないらしい。さっさと早馬を飛ばしてこいグレイグ、このまま別れるのがお前にとって不本意ならば」
「??ッ!」
───グレイグがイシの村に着いた時には、大分日が暮れていた。テオが大樹の根が巻き付いた木の下で赤ん坊のジュイネを抱き、一人佇んでいる。事情を聞くと、青年のジュイネが戻って来たかと思えば勇者の紋章を赤ん坊に返し、一人イシの大滝へおぼつかない足取りで向かったという。祖父のテオと赤ん坊に笑顔を見せ、『元気でね』と言い残して。
??グレイグが急ぎ大滝に向かうと、光虫が幻想的に辺りに漂い、微かに歌を口ずさみながら空を仰ぎ佇んでいる儚げな姿があった。
「ジュイネ??!!」
グレイグが名を呼ぶとこちらに顔を向け、一瞬儚い微笑みを見せた直後、その姿は風景に溶け込むように消え、その瞬間ライトグリーンの雫が煌めき水辺に落下したように見えすぐに駆け寄ると、そこにはユグノア王家のペンダントがあった。グレイグはそれを拾い上げ、暫くの間その場を離れる事が出来ず、頬を伝うものすら何なのか分からなかった。
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