時の渦に呑まれし者:後編
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「───グレイグ、そいつにお前の血を分けてやれ」
「な??? こんな時に何を言い出すのだホメロスッ」
「冗談を言っている訳ではない。ほら??そうこうしている内にそいつは今にも消えてしまうぞ」
「????」
仰向けに意識無く横たわったまま、どんどん輪郭を失ってゆくジュイネ。
「俺の血を分けると言っても、どうやって??」
「手のひらを切り裂いて拳を握り、血を滴らせるのだ。??ジュイネの口の中に直接、な」
「それでジュイネをどうにか出来るというなら、やってやろうではないか??ッ!」
グレイグは言われた通り、近くに落ちたままの剣を手に片方の手のひらの皮膚を切り裂いて拳を握り、消えゆくジュイネの半開きの口元に鮮血を滴らせる。───するとジュイネはみるみる薄まっていた身体の存在を取り戻した。
「??やはりな、どうやらジュイネの存在をこちらに留められたようだ」
「俺の、血でか? 何故??」
「う??っ。あ、れ??僕は」
「おぉ、ジュイネ??! 存在が消えずに済んで本当に良かったッ」
力強くグレイグに抱きしめられ、きょとんとするジュイネ。
「え、ちょ??どう、して????」
「グレイグの強い生命力に感謝するのだな、ジュイネ。??グレイグは基本的に馬鹿だが、体力だけは化け物じみているからその血を直接口にする事で失われゆくお前の存在を再び構築出来たのだ」
「グレイグの血を、口にしただけで??僕は消えずに済んだって、こと??? けどそうした所で、僕はもうこの世界に存在する意味なんて無いのに」
「無いとも言えんだろう、現にお前はまだここに存在している」
「ホメロスの言う通りだ、お前は消えるべきではない??共に生きていく方法はきっとあるはずだ」
「????」
「その為にはまず??グレイグの生き血を定期的に摂取する必要があるがな」
「それだとまるで僕は吸血鬼じゃないか??。僕をこの世界に留める為にグレイグに迷惑を掛けていたら、ウルノーガなんて倒せないよ」
「迷惑なものか、ユグノア王国は救えなかったがお前に見せてやりたいのだ??お前の世界とは異なるやり方で得る平和な世界を」
「それは、確かに見てみたい気はするけど??。グレイグの手の傷、治さないと」
「お前は回復呪文を使うな。それだけでもかなりの消耗となり更にグレイグの生き血を必要とするぞ」
「????」
「これしきの傷など、補助程度に覚えている俺自身の回復呪文だけで十分だ」
自分にベホイミを掛けるグレイグ。
「さて??やる事は決まった訳だが、オレとグレイグで今すぐ王に
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