時の渦に呑まれし者:前編
[10/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
しよう。??そいつは、今ここで斬り捨てたらどうだ? 生かしておくだけ、この王国に悪影響が及ぶぞ」
「待ってくれ、ホメロス。??お前、さっきまでしていた俺達の話を、扉を開ける前から聴いていたんじゃないのか?」
「何の話だ?」
「ほら、もう無意味だよグレイグ将軍。??早く、僕を殺してよ」
「断ると言っている。??ホメロス、察しの良いお前なら気付いているはずだ。エルジュは??いや、ジュイネは」
「????」
グレイグの部屋の扉を閉め、ホメロスは内側から鍵を掛ける。
「ホメロス?」
「───16年後に、私が??オレが魔王誕生と世界崩壊の一旦を担うとは、本当かエルジュ??いや、ジュイネ」
「何だ??、しっかり立ち聞きしてたんじゃないかホメロス。??嘘だって言ったら、どうしてくれる?」
「お前の望む通り、殺してやるだけだ」
スラリと剣を引き抜く。
「ホメロス??! ジュイネの言っている事は、嘘では───」
「グレイグ、何故お前はそう盲目的に信じられる? この先オレが闇の力に魅入られる事を確定事項とし、それを救いたいと宣うのか?」
「それは??ッ」
「───?っ、ごほ、ごほ??っ!」
苦悶の表情を浮かべ、突如血を吐くジュイネ。
「なッ??どうしたジュイネ、重い俺がずっと上に乗っていたせいか??!?」
ハッとして馬乗りをやめるグレイグ。
「はは??何言ってるのさ。確かに重いけど、グレイグのせいじゃ??ないよ」
ジュイネは血に濡れた口元を片手で拭い、ホメロスは状況を察する。
「??お前が存在出来る時間はもう少ないと、言っていたな。そういう事か」
「そうだね??時を遡るのを失敗したから、反動が酷いんだと思う。身体中傷だらけでユグノア城に倒れてたのも、魔物にやられたんじゃなくて特定の過去に戻るのを失敗したからなんだ、きっと??」
息も絶え絶えに話すジュイネ。
「ならば、殺す必要は無いか。お前は自ずと死ぬ。いや??存在自体が消える、と言った方が正解か」
抜いた剣を腰の鞘に納めるホメロス。
「このまま消えるの、嫌なんだけどな??誰かに殺された方が、まだ意味を持てる気がするのに??」
「お前自体の命を、グレイグに背負わせたいと言うつもりか?」
「僕の居た元の世界で、グレイグの命を預かっていたのは、僕なんだけどね??その上で、グレイグに盾になってもらってたんだけどさ??ごほっごほっ」
「もう喋らなくていい??苦しいのだろう」
グレイグはジュイネの背中を気遣わしげにさする。
「グレイグの故郷バンデルフ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ