時の渦に呑まれし者:前編
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たばかりの、新人です」
「なる程、新米か??あの死屍累々の中、運良く生き残れたのだろうな」
「四大国会議で集まっておられたクレイモラン王やサマディー王は自国の兵士に守られ無事だが、ユグノアのアーウィン王は我等がデルカダール王に刃を向けた為にやむを得ず倒され、エレノア王妃はマルティナ姫を人質に悪魔の子と逃れ今の所行方不明??前ユグノア王も行方知れずときたものだ。ユグノア王国の生き残りも殆ど居らず??新米兵士にはとんだ災難だったな」
グレイグは気遣わしげにジュイネを見やり、ホメロスは大して同情せず状況を説明した。
(???っ。父上、母上、マルティナ、ロウじいちゃん??。せめて、ユグノア王国が滅ぼされる前に時を遡れていたらまだ僕に何か、出来たんじゃ───? 左手の甲の紋章が、いつの間にか消えてる??どうして)
「エルジュ、自分の左手の甲を見つめてどうしたというのだ?」
怪訝そうに聞いてくるグレイグに、ジュイネは顔を上げ首を短く振る。
「いえ、何でも??」
「????」
ホメロスは腕を組んだまま、ジュイネをじっと見下ろしている。
(時を遡るのを失敗したから、もう僕は勇者ですらないってことかな。時の番人に役立つだろうと言われた、元勇者の剣の魔王の剣すらどこに行ったか分からない。元の時間軸から完全に切り離された僕は、仲間で居てくれたみんなを置き去りにして来た上に本当に独りになってしまったんだ)
「お前、泣いて───」
「え??ぁ、すみません??勝手に、泣いて??っ」
涙を拭うも、後から後から溢れてきてしまう。
「辛いのだな??。故郷を失い自分だけが生き残るというのは、計り知れない悲しみがある事を俺も知っている」
「──────」
グレイグの静かな言葉に、ジュイネは俯いたままでいるしか出来ない。
「??なぁエルジュ、デルカダール城の兵士となって共に国王をお護りしないか?」
「え???」
「何を言っているグレイグ、新米とはいえその者はユグノア王国の兵士。勇者という災いを呼ぶ悪魔の子のもたらす闇に染められ、錯乱した王や王妃が我等デルカダール王に刃向かうほどの暴挙に出たのだぞ。その者もいつ凶暴化するか判らん、そもそもわざわざ生かして城に連れて来たのは、悪魔の子の影響力を調べる為の実験体としてだろう」
「???!」
ホメロスの容赦ない物言いに、驚きを隠せないジュイネとグレイグ。
「そのようなつもりだったのか??? 俺はそこまでは聞いておらんぞ」
「他でもないデルカダール王の命令だ。??オレがお前より先にお聴きした」
(やっぱりもうホメロスは、デルカダール王に取り憑
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