温め合いの果てに
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の汚れは気にならないわ。───行くわよ、ジュイネ!」
マルティナは鋭い蹴りを何度も見舞い、ジュイネは何とか受け身をとったり素早く躱す。
「(あっ、“温め合う”ってこういうことか??。素手じゃ敵う気しないけど)」
??二人は一通り身体を動かし、温まってきた所で雨はいつの間にか止み、霧も晴れて夜空に星々が瞬く。
「強くなったわね??本当に。再会したての頃とは比べものにならないわ」
「そ、そうかな???。まだまだ、マルティナには敵わないよ」
ジュイネはまだ息を乱していたが、マルティナは息ひとつ乱しておらず崖のふちに姿勢良く佇んでいる。
「さっきのように素手ならまだしも、あなたが剣を手にしたら私じゃもう敵わないと思うわよ」
「そんなことないと思うけど??。それよりマルティナ、そんなとこに立ってて大丈夫?」
「え? そんなとこって───」
マルティナはこの時自覚なく、ジュイネとの“温め合い”に夢中でその終わり際に降り立った場所が崖のふちの断崖絶壁だった事にふと振り向いた時に気付き、思わず下方を見てしまい目眩を起こしてバランスを崩す。
「ぁ??」
「マルティナ!!」
ジュイネは落ちてゆくマルティナの片手を間一髪で掴み落下を防ぐ。
「マルティナ、大丈夫???!」
「あっ、あぁぁ??だめジュイネ、わたし今??足が地面についてないわ??っ。た、高すぎるのこわい、こわいの助けてっ!」
「お、落ち着いてマルティナ、今引き上げるから??!」
パニック状態に陥り目をぎゅっと瞑っているマルティナを励ましながら引き上げるジュイネ。??その際、勢い余って仰向けになったジュイネの上にマルティナが折り重なる形で俯せになり、胸元がちょうどジュイネの顔面に覆い被さった。
「───??あら? 私、どうしちゃったのかしら??。ってジュイネ!? 私の胸の下敷きに───何があったの?!」
「??????」
マルティナはすぐジュイネの上から退いたが、ジュイネは両腕を上向きに仰向けのまま目を閉ざし口は半開きのまま意識が無く、息すらしていないようだった。
「(何てこと??私のせいでジュイネを窒息させてしまったの??!? 急いで蘇生させなければ! 私は一切呪文は使えないからこれしか───)」
マルティナはぐったりしたジュイネに対し人工呼吸を試みる。すると??
「んっ??えふ、えふっ」
「あ、ジュイネ! 息を吹き返した???!」
「はぁ、ふぅ???。あれ??マルティナ、どうしたのそんなに、泣きそうな顔して───わっ」
「良かった、意識を戻してくれて??! 私のせいであなたがまた遠くへ行ってしまうんじゃな
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