温め合いの果てに
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イシの村復興後、マルティナと暮らす事になって。
「??ジュイネは、この村の成人の儀で神の岩の頂上まで登ったのよね?」
「うん、そうだよ。幼なじみのエマと一緒にね」
「そう、あの子と一緒に??」
マルティナはそれを聞いて複雑な気持ちになり目を伏せる。
「どうしたの、マルティナ?」
「───私、ジュイネと二人だけで神の岩に登りたいわ。今すぐ行きましょう」
「え、今から? もうすぐ夕方だし??それにマルティナは、高い所が苦手なんだよね」
「平気よ、あんなに高い場所にある命の大樹にも行った事があるんだし、神の乗り物ケトスにだって何度も乗っているのよ」
「ケトスには不思議なチカラがあって、風の抵抗とかも感じないから怖くないだけじゃ」
「いいから早く行きましょう、私はあなたと二人で神の岩の頂上まで登ってみたいのよ」
「う、うん、僕もいずれはそうしたいと思ってたけど??。神の岩を登る時は、なるべく高い所だってことを意識しないで下の方を見ないようにね」
「わ、判っているわ。高所ではいつも、そうしているもの??」
平静を装うにも表情が強張っていたらしく、そんなマルティナをジュイネが優しく励ます。
「大丈夫だよマルティナ、僕がついてるから。いつだって手を貸すからね」
「そ、そうね??ジュイネに意識を集中させていれば、きっと平気よね」
途中紅白の魔物に阻まれながらも、マルティナは何とかジュイネの助けもあって神の岩の頂上へと辿り着いた。
「すっかり、暗くなったわね??。明るい内に来た方が、景色も良かったかしら。少し霧が出て来たみたいで、遠くまでは見通せないわね」
「エマと登った時も霧が出てたけど、その後晴れてきてすごい遠くまで見渡せたっけ」
「あら、そうなの??。残念ね、私もあなたとその景色を見たかったわ」
顔を伏せてしまったマルティナに対し、ジュイネは素直な気持ちを述べる。
「夜の神の岩の頂上はミステリアスな雰囲気で、明るい時とはまた違って見えて素敵だよ。マルティナと二人きりで来ると、格別だね」
「ふふ、そう言ってもらえると嬉しいわ。??手、握ってもいいかしら」
「うん、もちろん」
マルティナは始めゆっくりと、そしてしっかりとジュイネの右手を両の手で握りしめ身体を寄せる。
「はぁ??ジュイネの前で強がってもダメね。やっぱり高い所は苦手だわ」
「暗いから、足元気をつけてね。このまま寄り添っててもいいから」
「えっ? えぇ、ありがとう??」
ジュイネの気遣いが嬉しくて自然と笑顔になったマルティナは、今度は無心でジュイネの横髪を指先
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