悲劇と悪夢と
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ジュイネ達は世界の異変後に噂になっている、泊まった者が皆同じ夢を見るというネルセンの宿屋に向かった。
そこで聞いた話では、美人の女武闘家も泊まっていたらしく、夢を見た直後飛び出すようにしてネルセンの宿屋を出て行ったのだという。
「(美人の女武闘家って、マルティナのことじゃ??。とにかく仲間のみんなとネルセンの宿屋に泊まってみよう)」
どうやら皆同じ夢を見るというのは本当らしく、口惜しいと嘆く戦士の風貌の男性と、その戦士を救ってほしいと願う女性の声を耳にした。
ロウが言うには嘆きの戦士の鎧の紋章に見覚えがあるようで、バンデルフォン地方の南西にユグノア地方への道が世界異変によって通じたらしく、ユグノア城跡へ向かう事となる。
───避難通路として使われていたというユグノア城跡の地下通路に続く扉が崩れぽっかりと空いており、そこを下って行った奥地にネルセンの宿屋で夢に見た嘆きの戦士が片膝を付き俯いていて、そのすぐ近くにはマルティナの姿がありぐったりと横たわっていた。
「マルティナ??!? どうして夢の中の戦士の傍に」
「口惜しい??あぁ、口惜しい??!」
「気を付けるのじゃジュイネ、その戦士からは禍々しい闇を感じる??まずは鎮めるのが先じゃ!」
嘆きの戦士と闘い鎮めたのち、ジュイネはマルティナに駆け寄って上半身を抱き起こし呼び掛ける。
「マルティナ、マルティナ??! しっかりして」
「う、ん??エレノア、様??アーウィン、様??ジュイネ??」
「何事かうわ言を述べられているが、姫様の意識は戻らない??この嘆きの戦士のせいなのかッ?」
「あらん、ザメハも効かないみたいね??どうしましょ」
グレイグとシルビアもマルティナを案じ、ロウは見解を述べる。
「ふむ??戦闘で鎮めても根本的解決にはならんようじゃの。それにどうやらこの嘆きの戦士は??我が娘エレノアの婿にしてジュイネの父アーウィンの骸のようじゃな??」
「(ユグノア王家の甲冑姿の嘆きの戦士が、僕の父親??)」
「ユグノアの悲劇の際わしは別行動をとっておった為に知らなんだが、ここで果てていたとすれば無念も相当なもの??。この場所にずっと囚われておったんじゃな。──ジュイネよ、実の息子のお主ならば声が届くかもしれん。アーウィンの骸に語り掛けてやってくれんか」
「うん??。グレイグ、マルティナをお願い」
「うむ??」
マルティナをグレイグに預け、ジュイネは片膝をついている嘆きの戦士と同じ姿勢をとり、戸惑いながらも語り掛ける。
「えっと、父さ??父上、って呼んだ方がいいのかな。あなたにとっては赤ん坊の頃の僕しか知らないと思いますけど??良識のある人に拾われてここま
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