包まれて
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確かに城の中は怖いほどにシンと静まり返っている。??あの日多くの魔物に襲撃を受け滅ぼされたはずの城の中は綺麗に整っているものの、人の気配はまるで無い。それに幼くなったジュイネと違ってマルティナ自身は歳は変わらず格好も普段と同じで、立ち上がってみると明らかにジュイネの方は背が低く可愛らしかった。いつもなら彼の方がすらりと背が高く、視線は上向きになるのに今のマルティナの視線は下向く形になるので新鮮な感じがした。
(私の事を見上げている幼いジュイネは何て可愛いのかしら??普段の彼も可愛いところがあるけれど??って、そんな事を考えている場合ではないわ。どういう事??これは夢、なのかしら)
「お母さんも、エマもルキも、村のみんなもいない??。テオじいちゃんはもうしんじゃったし、ぼくどうすればいいの???」
マルティナを見つけるまでは一人で怖いのをぐっと我慢していた為か、とうとう堪えきれなくなってジュイネはぽろぽろと泣き出してしまう。
(そう、よね??この子にとってのお母様やお爺様は、育ての親のお母様とお爺様なんだわ)
泣いているジュイネを見ていられなくなったマルティナは膝をついて姿勢を低くし、柔らかく抱き留める。
「大丈夫よ??これからは私がずっと一緒に居て、キミを守ってあげるから」
「ほんと??? ありがとう、お姉ちゃん??」
耳元で囁かれた言葉に安心してか、幼いジュイネはマルティナをぎゅっと抱き返す。
「??そうだ、お姉ちゃん名前なんていうの?」
「マルティナ??マルティナよ。よく覚えておいてね、ジュイネ」
「うん、マルティナお姉ちゃん。ずっと??ずっといっしょに、いてね」
「ええ、ずっと一緒よ。私はもう、キミを離したくはないから??───」
ふと目を覚ますとマルティナはベッドの中で、もう幼くはないジュイネを抱き包んでいた事に気付く。
(あぁ、やっぱり夢だったのね??。夢でも私の気持ちは変わらない。今度こそ、ジュイネを守り続けてみせる)
「う、ん??。? マル、ティナ???」
ジュイネはマルティナの腕の中でおもむろに意識を戻す。
「あら、良かった??! ジュイネ、目が覚めた? 身体はどうかしら、まだ寒い?」
「えっと、その??寒くはなくなったけど、逆に、熱いというか??」
恥ずかしくて間近のマルティナを直視出来ずに、つい目を逸らすジュイネ。
「そうなの? ??顔が紅いけど、熱が上がったんじゃないかしら」
マルティナからおでこに片手を宛てがわれ、ジュイネはますます顔が熱くなる。
「──どおジュイネ、マルティナさんのお陰で大分身体あったまったんじゃないっ?」
「うふふ、良かったで
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