包まれて
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かしら」
「大丈夫ですわお姉様、私達はジュイネ様とマルティナ様を見守りましょう??!」
セーニャは何故か自信たっぷりに言い切る。
「ええっと、じゃあその??失礼するわね」
「どうぞどうぞ、遠慮なく」
「はい、遠慮なくどうぞ」
にこにことベロニカとセーニャに見守られながらは入りづらいが、マルティナはジュイネの寝ているベッドの中にそっと入り込む。
直接触れた手と、着ている服の上からも分かるほどにジュイネの身体はまだ冷え切っており、小刻みに震えていて呼吸も浅かった。
マルティナにはその様子が不憫でもあり愛おしくもあって、全身で柔らかくジュイネを抱き包む。
(そういえば、ユグノア城跡でジュイネが崖から落ちてしまって私が助けようと一緒に落下した時も、こんなふうに抱き締めたわね??。その時はほとんど余裕がなかったけれど、今こうしていると愛おしくて仕方ないわ??。エレノア様もきっと、赤ん坊のジュイネを抱いている時こんな気持ちだったんじゃないかしら)
指通りの滑らかなジュイネの髪にそっと触れ、撫ぜながらマルティナはそのように思う。
??いつの間にかマルティナも、心地よい眠気に誘われて眠ってしまったようだった。
「ねぇ??ねぇおきてよ。ねぇってば??」
「ん??、あら? キミは───」
幼い子供の声の呼び掛けと控え目な揺さぶりに気づき、目を覚ますとそこには、素朴な村人の服を着た子供が心配そうにマルティナの顔を覗き込むように見つめていた。
「お姉ちゃん、だぁれ? それにここ、どこ? きづいたらここにいて、とっても広くて迷っちゃったんだ」
「え? キミ、もしかしてジュイネ???」
「そうだけど??お姉ちゃん、どうしてぼくの名前しってるの?」
マルティナにとってはジュイネは赤ちゃんの頃までしか知らず幼少期は元より知らないはずだが、確かにその面差しは16年後に再会した時よりずっと幼くともジュイネだと分かる。
「ど、どうしたのジュイネ、そんなに幼くなってしまって??まさか、これもあの氷の魔女の影響だというの?」
「お姉ちゃん、なんのこと言ってるかわかんないよ。それよりここ、どこだかわかる?」
幼少期の声のトーンが高めのジュイネに聞かれて周囲を見回すと、見覚えのある懐かしい城の中だった。何度か訪れた事のある、滅ぼされる前のユグノア城??母親のように慕っていたエレノア王妃との思い出??赤ん坊のジュイネに触れて、とても可愛くて仕方がなかった記憶??
「ぼくのおうち、イシの村っていうとこにあるんだけど??なんでここにいるのか、わかんないんだ。ここすごく広くて、誰もいなくて??だけど倒れてるお姉ちゃんだけ見つけたんだよ」
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