私の王子さま
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て、亡国のユグノアの王子ではあるけど??」
「そ、そのままの意味ではなくて??何と言いますか私にとってジュイネ様は、理想の方なのです。物語に出てくる王子様のように優しくて勇ましく、とても素敵な方なのですわ」
「????」
セーニャに憧れの眼差しを向けられ、ジュイネは押し黙って顔を背けてしまう。
「す、すみません私??おかしな事を言ってしまいましたか?」
「───僕はセーニャが思ってるほど、優しくもないし勇ましくもないよ。素敵なわけもない」
「え??」
「僕はね、逃げてきたんだよ自分の罪から。“世界を救い直す”という名目で??」
「!」
「そんな僕が、優しくて勇ましいわけないじゃないか。??勇者としての自分に都合の悪いことを無かったことにして、置いてきたみんなを蔑ろにして自分だけ幸せになろうとしてる。最低だよ、僕は??悪魔の子そのものだ。物語に出てくるような、優しくて勇ましい王子様なんかじゃない」
「───??」
「ごめん??何のことを言ってるか分からないよね。いいんだよ、僕だけが覚えていればいいんだ。あんな、悲しい記憶なんて───」
「ジュイネ様は、また私のことを??探し出してくれたじゃありませんか」
「??え」
特殊なリングで髪型がショートになっているセーニャに一心に見つめられ、目を逸らせなくなるジュイネ。
「私だけじゃありません、仲間のみなさんも??ベロニカお姉様だってそうです」
「????」
「あなたは自分だけ幸せになろうとなんてしていない。ベロニカお姉様は、仲間のみなさんと一緒に居られる事がとても幸せのように仰っていました。───多くの犠牲を無かった事にしたのではなく、あなたは多くの人々の幸せを取り戻したのです」
「─────」
「それにあなたは、“自らの罪”としている事に向き合い続けている。それはきっと、“逃げてきた”事にはならないはずですわ」
「セー、ニャ??君はもしかして、覚えているの? それとも、思い出したの???」
「え? ??あら、私ったら何を分かったように話しているのでしょうね。自分でも、よく分かりませんけれど」
急にハッとして首を傾げるセーニャは、自分が無意識の内に述べた言葉を理解していない様子だった。
「そっか??うん、そうだといいよね。ありがとうセーニャ、さっきの君の言葉で気持ちが少し軽くなったよ」
「それなら、いいのですが??」
「セーニャの、理想の王子様に近づけるように??僕もっとがんばるね」
「いえ、そんな??ジュイネ様に私の理想を押し付けるのは、やはりよろしくありませんわ」
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