守り導く者として
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に、ベロニカの杖の先端から暖かな光を放つ球体が現れ、ジュイネの髪をふわりと撫ぜるように通り過ぎると、今度はセーニャの方に向かい目の前で静かに煌めく。
「??───」
セーニャは何かを察し、その暖かな光を放つ球体を受け入れるように瞳を閉じると、球体はセーニャの身体と一体化し仄かな輝きを全身に帯びる。
「! この魔力は」
身体中にみなぎる魔力を感じ、セーニャはかつてベロニカがしていたように人差し指の先に小さいながらも勢いのある炎を出して見せる。
「それって、ベロニカの??!」
「お姉様の魔力とその意志を??受け継ぎました」
両の手を胸の前に組み、感謝と祈りを込めるセーニャ。降り続いていた雨も、いつの間にか止んでいた。
「そっか??ベロニカの魔力は、セーニャの中に宿ったんだね」
「えぇ??お姉様の心と、一つになれました。ベロニカお姉様は、私の中で確かに息づいています。ですから??寂しがる必要はありません」
「うん??」
「さぁ、ジュイネ様??安心して宿でお休み下さい。さぞお疲れでしょうから。私もお傍に付いております」
「え、でも」
「??『なぁに、あたしの言うことが聞けないわけっ?』」
「????」
両手を腰に当て、強気な表情でこちらを覗き込むような仕草とベロニカ口調のセーニャに、思わず目を丸くするジュイネ。
「私の中のお姉様が、仰っていますわ。『言うこと聞かないと無理矢理寝かすわよ!』って」
「あはは??それは怖いかも。さっきのセーニャ、ほんとにベロニカみたいだった」
「それはそうですわ。私とお姉様は同じ葉の元で生まれた双子??私はお姉様の、妹ですもの」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【魔王討伐後の、とこしえの神殿にて】
「───過去に戻り、魔王誕生と大樹崩壊を阻止し、お姉様や数多くの人々を死なせないようにして世界を救い直す事が出来るのは、勇者であるジュイネ様だけ??。私達は、現在の記憶を手放す事に???」
「???。ベロニカにまた逢えるなら、ベロニカを死なせないように出来るなら、僕は」
「いけません、ジュイネ様??。私達も過去に戻れるならともかく、ジュイネ様だけ危険な目に遭わせ過去に遡らせるなんて??!」
「───??」
「失敗してしまったら、永遠に時空の狭間を彷徨う事になるのですよ??そんな事、ベロニカお姉様だって望みはしません。??とこしえの神殿から離れましょう、この場所で見聞きした事は忘れるべきです。世界を救い直すなんて、そんな都合のいい話??今現在の私達を、ベロニカお姉様の死の意味を完全に否定する事になりますから」
「そう、だね??。一旦冷静になるべきかもしれない」
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