守り導く者として
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??。小さい頃から、私はこの歌が好きでした。お姉様へ向け、歌い奏でる時が来るとは思いもしませんでしたが??」
「─────」
「私は??幼い頃からお姉様に何もかも遅れていました。まさか、こんな時にまで先に行かれてしまうなんて」
「セーニャ??ごめん。謝って済む問題じゃないけど、本当に??ごめんなさい。僕のせいで、ベロニカは」
「いいえ??違います。ジュイネ様は何一つ悪くなどありません。お姉様は??命を懸けて勇者を守るという使命を、果たしたのですから。なのに、私は───お姉様の気持ちを無下にしてしまった」
「????」
「命の大樹に向かう前夜??お姉様は自身の運命を悟られていたのか、この先自分に何かあっても一人で生きていける事を、私に約束させようとしたのです」
「!」
「そのお姉様に私は??そんな約束、出来ませんと??お姉様が居なくなるなんて私、考えられませんと答えてしまい、それ以上何も言えなかったのです」
「????」
「私は、お姉様とは芽吹く時も散る時も??同じだと思っていましたから。ですが??私はグズでしかなかった。ジュイネ様を守れず魔王誕生も阻止出来ず、お姉様だけをあの場に残して??お姉様に助けられ、生き残ってしまった」
「ベロニカ、は??セーニャに、勇者を守る使命を改めて託したんだと思う、けど??僕は、セーニャにまで死んでほしくなんてない??。魔王を誕生させてしまって、仲間も死なせた上に多くの人々を犠牲にしてしまった???勇者として失敗した僕を、守る価値なんてないよ」
「そんな事、仰らないで下さいませ??。勇者として守る価値のあるなしで、お姉様は命懸けでジュイネ様を守った訳ではありません。失敗したという意味でなら、私だって同じです。それでも───それでも私達は、ベロニカお姉様に託されたのです。あいつから??魔王から、世界を救う事を」
「───??」
「諦めてなど??いられませんね。守って頂いたこの命、ベロニカお姉様の想いを??未来に繋げなければ」
「(セーニャ??)」
「ただ、少しだけ??少しだけ、ジュイネ様の隣で、泣かせて下さい??っ」
咽び泣くセーニャの隣で、ジュイネもただ静かに降り続く雨のように泣き沈む。
「───もう、涙は見せません」
ひとしきり二人で泣いた後、ふとセーニャがそう述べ、一歩前に出て懐刀を取り出すと後ろに流れる長い髪に触れ、一気に切り離して断髪する。
「今までありがとう??さようなら」
切った髪の毛を微風に乗せて空へ放つと、優しい炎がそれを燃やし、同時に木の幹に立て掛けていたベロニカの杖が輝き出す。
「(ベロニカ、そこに居るの???)」
ジュイネの心の呼び掛けに反応したかのよう
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