男装の勇者
第八話:過去と未来の行く末に
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ジュイネ
「───ぁ」
カミュ
「」
グレイグ
「」
────────────
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???ついに邪神を倒し黒い太陽から脱出して光の粒が満たす大空の中、神の乗り物ケトスの上でふとジュイネは勇者としての役目を終えた左手の紋章に目を向け、最後にやるべき事を思い付く。
それは、とこしえの神殿にて時の番人と化している“彼女”を元の姿に戻し、勇者の剣を授け、紋章を譲渡する事。
それによって“彼女”は自分と同じように時を溯り、愛する者との再会を果たす事だろう。
───勇者の剣は壊れずに音を立てて地に落ちた。
それと同時に、ジュイネは糸が切れた人形のように倒れてしまう。
??これまで勇者の紋章のチカラで保たれていた身体が、遂には耐えきれなくなったらしい。
ジュイネはその場で仲間達に囲まれ、心配されて言葉を絶えず掛けられているようだがうまく聞き取れない。視界すらぼやけている。
何となく、こうなる事は分かっていた。
勇者の紋章を譲渡し失った事で、時を溯った際の反動が今になって現れたのだ。過去へ戻って世界を救い直すという行為は、それだけ危険な事だった。溯るのを失敗し、永遠に時の狭間を彷徨う事になるよりはマシかもしれない。
───僕はもう、勇者としての役目を果たしたんだ。世界を救い直したし、ベロニカも多くの人々も死なせずに済んだ。これで??よかったんだ、思い残すことはない。
さよならなんて、言わないから??きっと、みんなまた逢えるって、信じて────
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久し振りに仲間達が集まった。イシの大滝のほど近くに彼の墓石が建っている。彼は最期、勇者としてではなく一人の人間としてこの世を去った。
皆それぞれ彼に想いを馳せていると、仲間の一人がある事に気付いて声を上げる。
流れの弱い澄んだ水辺に、小さな揺りかごが浮かんでいる。
その中に、赤ん坊がすやすやと眠っていた。
仲間達は、彼が新しい命となって自分達の元へ逢いに戻って来てくれたのではないかと思い、皆でその子を育てる事にした。
それからというものとても活発に育ち、皆が手を焼くほどだった。
「??ジュイネ!」
誰かが、その名を呼ぶ。愛おしい想いを込めて。
end
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