男装の勇者
第七話:仲間と共に歩む道
[1/17]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
??黄金化され宝物庫に閉じ込められていた人々の中に、セーニャが居た。セーニャは双子の姉ベロニカの気配を辿り聖地ラムダへ戻ろうとしていたが、黄金の大岩に道が塞がれ、その黄金をどうにか出来ないかと触れたら自らが黄金と化してしまったらしい。
クレイモラン王国の黄金病を解決し、神語りの里へ通じるゼーランダ山への道も黄金の大岩が消えて開かれ、ジュイネ達はあと一人の仲間と再会する為聖地ラムダへと急ぐ。
───しかし、余りにも無常な現実が待っていた。
ベロニカは、散りゆく命の大樹から意識を失ったその場の全員を助ける為に自らのチカラを使い果たし、魔王誕生の際の凄まじい衝撃波を直に受け、身体は一欠片も残さずに消滅し、ベロニカの杖に込められた残留思念が姿をとって聖地ラムダの静寂の森の木の幹に背をもたれ掛け、独り静かに眠るように亡くなっていた。
??ベロニカの杖に残された記憶が仲間達に伝わり、皆ショックを受ける中セーニャがそっと姉の頬に触れた瞬間、ベロニカの姿は光の粒となって消えてしまう。それにより、本当に姉を失ったのだと悟ったセーニャは気丈にもベロニカの杖を手にすぐ里の人々に姉の死を伝えに向かい、その日の内に葬儀が行われた。
亡き人を想い髪を一房切り火にくべて捧げる葬儀に参列し、ロウは髪の代わりに髭を少し、ジュイネは茫然自失のまま自分の髪を多く鷲掴みにし一気に切ろうとした為、仲間達が何とか止めて一房にさせるほどだった。
───セーニャは涙ひとつ見せず葬儀を終えたが、その後宿屋近くのテラスでベロニカの杖を一本の木の幹に立て掛け竪琴を悲しげに奏で呟くように歌い、そんな彼女にジュイネは何と声を掛けていいか分からなかったがとにかく謝る事しか出来なかった。勇者なのに魔王を誕生させてしまった挙げ句、ベロニカを死なせてしまった事を。
しかしセーニャは、ジュイネに謝ってほしいなど一切思っていなかった。寧ろ自分を責め、静かに降りしきる雨の中二人は暫く咽び泣いた。
??そしてセーニャは意を決したように短刀を手に長かった髪を短く切り、杖に残されていたベロニカの魔力を受け継ぎセーニャは急に見違えるほどしっかりして見え、雨はいつの間にか止み月明かりが雲間から覗いた。
「私はもう大丈夫ですから、ジュイネ様はお休み下さい」と言われたジュイネはひとまずセーニャの元を離れたが、ラムダの里の入り口に俯き佇んでいるカミュが気になり近寄ってみるものの素っ気ない態度をとられる。
カミュ
「何だよ、ジュイネ??オレを慰めに来たつもりか?」
ジュイネ
「????」
カミュ
「────あいつ、ベロニカのやつ??、オレに対していっつも憎まれ口叩きやがってよ。いつか、泣かしてやろうかと思ってたのに??勝手に、居なくなりやがって」
ジュ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ