男装の勇者
第七話:仲間と共に歩む道
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ジュイネ
「君は、まさか」
「久しぶりね??ジュイネ」
振り向いた小さな存在は、ベロニカだった。淡い灯りの中、辛うじて見える表情は酷く、悲しげだった。
ベロニカ
「あたしね??命の大樹の魂のあった場所で魔王誕生の際に肉体を失ってからずっと、この天空魔城にあたしの魂自体が囚われてるの。だから??この姿は実体ではないのよ。生前の姿を映し出しているだけ」
ジュイネ
「─────」
ベロニカ
「信じられない、って顔してるわね。あたし??死んでからもずっと、苦しめられてるのよ。魂だって、痛みを感じるの」
ジュイネ
「????(アーウィン王や、エレノア王妃もそうだった。ベロニカまで───)」
ベロニカ
「勇者を守る使命は、確かに果たせたわ。幼い頃から、そうするように言われてきたから??。でもね、ほんとは死にたくなんかなかったの」
ジュイネ
「!」
ベロニカ
「もっと生きたかったのよ、自由に??。勇者を守り導く事だけが使命だなんて、呆気ないじゃない。そのくせ、勇者を生かす為にあたしが死ななきゃならなかったなんて??不公平よ」
ジュイネ
「お前、は」
ベロニカ
「????」
ジュイネ
「お前は、偽物だ。ベロニカじゃない??」
ベロニカ
「それはあんたがそう思いたいだけでしょ? 自分を否定してくる者は偽物、肯定してくれる者は本物ってね。都合のいい勇者様だわ??。あたしが偽物だっていうなら、その剣であたしを斬ってみなさいよ」
ジュイネ
「────っ」
仲間達と完成させた勇者の剣を手にするジュイネだが、偽物と頭では分かっていてもベロニカの姿を目の前にして身体が動かない。
ベロニカ
「??そんなものよね。ついでだからあたしのお願い聞いてくれる? ───今すぐ、死んでほしいのよね」
そのベロニカはもう悲しげな表情などしておらず、真顔で首を傾げジュイネに呟くように語りかける。
「自らの死をもって償いなさいよ??あんたのせいで魔王は誕生し、あたしを含め多くの人々が死に??世界は壊れちゃったんだからさ?」
─────────
───────
セーニャ
「(ここは、どこなのでしょう??急に真っ暗になって何も見えない上に、仲間の皆さんともはぐれてしまったようですわ)」
そこへ啜り泣くような声がセーニャの耳に聞こえてくる。
セーニャ
「(誰かが、泣いて───あっ)」
不意に暗闇の中で紫色の淡い明かりが灯った先には、地面にへたり込んで泣いている小さく愛おしい姿が目に入った。
セーニャ
「お姉、様???!」
ベロニカ
「え??セーニャ、そこにいるのセーニャ???」
セーニャ
「はい
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