男装の勇者
第七話:仲間と共に歩む道
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カミュ
「浴びた瘴気で完全に火竜になっちまう前に、オレを殺せって言ってるんだ??。衝動的なチカラを抑えられる内にッ。火竜になっちまったら、死に際に別の人間に瘴気を浴びせて??また人食い火竜が生まれちまう。その連鎖を、今ここで絶つんだ。勇者のお前なら??やれるだろ」
ジュイネ
「出来ない??出来ないよ、そんなこと。僕のせいで、また仲間を失うだなんて??っ」
カミュ
「お前は無理でも、グレイグのおっさん??あんたなら、出来るよな」
グレイグ
「!」
カミュ
「わりぃ、イヤな役やらせちまうが??」
グレイグ
「───??承知した」
ジュイネ
「グレイグ???! やめてよそんなっ」
ヤヤク
「ジュイネとやら、これを!」
ヤヤクがジュイネに投げて寄越したのは、表面が曇ったままの“やたの鏡”だった。
ヤヤク
「そなたが先程聞いた勇者ならば??扱えるかもしれぬ! “やたの鏡”をその者に向け、掲げてみるのだ!」
ジュイネ
「??っ!」
───言われた通りにしてみるものの、“やたの鏡”は一切輝きを放たず、ジュイネは左手の甲の紋章にチカラを込めて“やたの鏡”に翳してみても何も起こらなかった。??無力な自分に嫌気が差したジュイネは、“やたの鏡”を地面に叩き落とす。
ジュイネ
「何でだよ??こんな時に、勇者のチカラを使えないだなんて───目の前で、大切な仲間が苦しんでるのに??!!」
頬を伝う涙が“やたの鏡”に落ちるが、鏡の表面は曇ったままだった。
カミュ
「ジュイ、ネ??ッ」
ジュイネ
「肝心な、肝心な時に役立たずのこの、勇者の紋章と僕のせいでベロニカや多くの人々??カミュまで失えっていうのかっ!!」
片手剣の切っ先を左手の甲目がけジュイネは鋭く突き刺した。───流れる鮮血は、その下に落ちていた“やたの鏡”に滴り、次の瞬間には目も眩むほどの光が鏡から溢れ出し、ジュイネは自ら刺した左手の甲の痛みなど忘れ無我夢中で“やたの鏡”を拾い上げ、カミュに向けてその神聖な光を浴びせるとカミュは、一度酷く苦しげな声を上げたが“やたの鏡”からの光が収まると変貌しかけていた彼の身体は元に戻り、仰向けに倒れた所にジュイネは駆け寄る。
ジュイネ
「カミュ、カミュ??! しっかりして」
カミュ
「あーぁ、ベロニカの元に行きそびれちまった。??なんてな、あいつならきっとオレを追い返すだろうしな??」
ジュイネ
「あはは、それはそうだよ。うっ、いたた??っ」
カミュ
「お前、左手の甲??刺しちまって、紋章は大丈夫なのか?」
ジュイネ
「大丈夫だと思うけど??回復してみるね。あ、カミュの方から回復しておかないと??《ベホマ》!」
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