男装の勇者
第五話:奪われしチカラ
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」
(───???)
「良かった??漸く、意識を戻しましたね。数ヶ月前、海底王国の民がボロボロの難破船のようになっていたあなたを見つけ、私がずっと介抱していたのですよ」
(ダレ????)
「あぁ、やはり記憶が??。大丈夫ですよ、あなたはここに居れば良いのです。あなたの姿は魔王の目を欺く為、人魚の姿にしています」
(マオウ??ニンギョ????)
「今は、何も考えなくとも良いのですよ。病み上がりとはいえ身体を動かせるようなら、少し泳いだ方が回復には良いかもしれません。海底王国の民は皆、あなたの味方ですからね」
(キレイな、ところ??およぐの、たのしい)
(おサカナさんたち、ぼくのことユウシャっていう??ユウシャって、なんだろ)
(なにか、しなきゃいけなかったんだっけ。わから、ないや。ぼくはここにいればいいって、キレイでおおきなおサカナさんがいってたから??なにもかんがえなくたって、いいんだ)
人魚の彼は目を閉じ、仰向けで海底の浮遊感に身を任せていた。───すると突然、海底王国が激しく揺れ動いた。
(なに??? 上の方に、何かいる)
目を開けた彼が目にしたのは、巨体を持つ海獣が海底王国を目掛けつつも何か見えない壁に阻まれているらしく、バシンバシンと激しく壁を叩きつけている様子だった。
「??あれは、海底王国をも我が物にしようとする魔王の手のものです」
いつの間にかすぐ近くにやって来ていた海底王国の女王は、手に持つ杖のチカラで海獣からの侵攻を阻んでいたが、海底に住まう民達は恐れおののき逃げ惑うものも出始める。
「そろそろ私の結界も、限界のようね??。ジュイネ、あなたをここから逃がさなければなりません」
(にげる??? ぼくは、ここにいちゃいけないの?)
「よくお聴きなさい、ジュイネ。例え思い出したくない事だとしても。───あなたには、誕生してしまった魔王を倒す使命があります」
(まおうを、たおす???まお、う??)
「私は、千里の真珠を通して魔王誕生を見ているしか出来なかった。あなたの勇者のチカラは奪われ、握り潰されてしまった。しかし??あなたの内深くに眠る勇者のチカラは、完全には奪われていない。───そして勇者とは、最後まで決して諦めない者の事」
(???!)
「今この時が、“諦めていい最後”ではありませんよ」
(─────)
「さぁお行きなさい、勇者ジュイネ。あなたが必要とし、あなたを必要としている者達の為、使命を果たすのです」
海底王国の女王が杖を掲げると近くで上昇する水流が発生し、人魚姿のジュイネはその中に吸い寄せられて一気に上昇し、海獣が海底王国の結界を破いたと同時にその外側の海流に
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