男装の勇者
第五話:奪われしチカラ
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露わにしても気付くのが遅すぎるぞ、グレイグ将軍。我はこれでも、16年間国王としてお前を贔屓し続けてきたのだがな??。イシの村人らも生かしておく事を許したが、それもこれから起こる事象により意味も無くなるだろう」
「我が主、ウルノーガ様の仰る通りだグレイグ??。邪魔立てをするなら、ウルノーガ様から賜ったチカラで私が相手をしてやろう??!」
ホメロスが、また全身に闇のオーラを纏った??。あれがある限り、グレイグ将軍でもホメロスには敵わない??っ。
「くッ、目を覚ませホメロス! お前は奴に操られているだけだ、俺達はデルカダールの双頭の鷲として───」
「残念だがグレイグ??これは私の意志だ。ウルノーガ様への忠誠は揺るがない??。お前の先を行く為ならば、闇のチカラに溺れる事など厭いはしないのだ!!」
ホメロスはグレイグ将軍を僕とウルノーガから遠ざけるように強力な攻撃を仕掛けた。ダメだ、このままじゃグレイグ将軍まで??
「人の心配をしている場合か、勇者よ。───その内に秘められしチカラ、我が暴き出してやろう??!!」
何をされたのか、よく分からなかった。
ただ、胸元に強烈な痛みが走って聞き慣れない自分の叫び声が他人事のように聞こえた以外は。
何かが、断りもなく自分の中に入ってくる。
それがとてつもなく不快で耐え難く、追い出そうとしても強引に入り込んでくる。
気持ち悪い、苦しい、痛い??っ
やめろ??やめて、それ以上入ってこないで。
そこに、触れないで??“それ”は、触れちゃいけないものなのに────
ずるり、と嫌な音がした。自分の中の何かが、引き出された。
激痛で強張った身体から、すっとチカラが抜けた。
浮力を失って、地面に倒れ伏した。
誰かが、心配して声をかけてくれてる。
??僕は、まだ死んでないんだろうか。
酷く重く感じる頭を上げてみた。
───その視線の先では、勇者の剣を手にしたウルノーガが大樹の魂より上の空中にいて、妖しげな手つきで勇者の剣を禍々しい闇を纏った大剣にしてしまった。その剣をもってして命の大樹の魂を貫き、命の根源のチカラを奪ってゆく。
??あぁそうか、ウルノーガは僕から勇者のチカラを引き抜いてそれを利用して勇者の剣を手に入れ、すぐに不要になった勇者のチカラは棄てて、本命は命の大樹の魂のチカラだったんだ。
ウルノーガの口から『我は魔王』という言葉を聞いた気がした。魔王になりたいがために、僕の中にある勇者のチカラを欲したのか。??そういえば初めてデルカダール王に会った時、『勇者と魔王は表裏一体、勇者は悪魔の子』って言われたっけ。何だ??本当にその通りになっただけじゃないか。
勇者が魔王を生む
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