男装の勇者
第五話:奪われしチカラ
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が、急に奇妙な動きをし出したと思ったら??その身体から分かれるように突然もう一人現れて、王の方は糸が切れた人形みたいに倒れ動かなくなった。
「我こそはウルノーガ??。長年王に取り憑き見失った勇者を求めていたが??まさかデルカダール地方南部の渓谷地帯にある、見つけ難い小さな村に16年もの間匿われていたとはな??灯台下暗しとはこの事か」
「我が主ウルノーガ様??ご覧の通り勇者一行に奇襲を掛け一掃致しました」
「よくやったホメロス??こやつらを命の大樹の魂のある場所まで泳がせておいて正解だった。───これで長年の悲願を達成出来るというものよ。グレイグ将軍はホメロスの謀略を暴きたいが為に、我に取り憑かれている王を引き連れホメロスをここまで尾行したつもりのようだったが、とんだ思い違いをしたものだな」
ホメロスが、デルカダール王を騙してたわけじゃなかったんだ。ウルノーガは王に取り憑いて、ホメロスを従えて長年僕を探してた???
「さて、悪魔の子もとい勇者ジュイネよ??」
俯せに倒れたまま顔だけ起こしている僕の目の前にウルノーガが立ち、何かの魔力で僕の身体を強制的に起き上がらせた。両腕は広げ吊り下げられたような感じになり、足は地についてない浮遊感がある。
「ふむ??ひとつ確かめさせてもらおうか。ホメロスよ」
「ハッ」
ウルノーガに命じられたらしいホメロスが、いきなり剣を抜いて僕の上半身を縦に切り裂いた。??痛みは感じなかったから、皮膚は裂かれていない。けれど上着とインナー、サラシが共に裂かれ、胸元が露わになった。
───突然の事にわけが分からず、両手で胸元を隠そうにも両腕は言うことを聞かず動かせない。
「??成程、やはりそうか。男子よりチカラ無き女子を勇者に据えるとは、命の大樹は判断を見誤ったものだな。まぁ、例え男子だったろうと総合的に弱ければ同じ事だが。───先代勇者とて、あれしきで事切れるような奴だったからな」
なんの、ことを言って??。それよりやめてほしい、はだけられた胸元を見ないでほしい??。こんな、辱めを受ける勇者なんて───僕は目をぎゅっと瞑っていることしか出来ない。
「恥辱を受けて苦痛か? ??ならばそれすら忘れる程の激痛を与えてやろう」
「───させるものかッ!!」
??! グレイグ、将軍が??僕を守るように割って入りウルノーガの前に大剣を手に立ちはだかった。肩で息をしてる??立ってるのもやっとなはずなのに。
「ほう??? 我の闇のチカラを間近に背に受けておきながら立ち上がるとは。流石は偉丈夫なだけはある」
「貴様??我が王に16年もの間取り憑き、ジュイネを??勇者を悪魔の子などと吹聴し追い続けていたなど??!」
「今更怒りを
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