男装の勇者
第五話:奪われしチカラ
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だった。
ペルラ
「エマちゃん、王様を呼んできておくれ。王様なら一喝してくれるはずだよ??!」
エマ
「でも王様は、ベッドから中々起き上がれない状態で??兵士さん達は砦入り口の防衛に掛かりきりだし、どうすれば───あれ、空が」
エマがふと気づき空を見上げると、これまで暗闇に染まっていた空の隙間から幾つもの光の筋が差してきていた。
男性
「おぉ??きっと英雄グレイグ殿が、常闇の魔物を倒してくれたのだ! 魔王を誕生させた勇者とは大違いだな!」
ジュイネ
「(グレイ、グ???)」
ペルラ
「空がようやく晴れたってのに、暴力をやめちゃくれないなんて??! やめとくれってば! ジュイネを傷付けるのはよしとくれっ」
エマ
「お願い、やめて! こんなのって???」
「───おい、そこで何をしている!」
暫くして威勢のいい声が上がり、皆思わずそちらに目を向ける。??そこには、激戦を制してきた為か見るからに傷だらけのグレイグ将軍が他の兵士を伴いやって来た。
男性
「見ろ、英雄グレイグのご帰還だ! 勇者などいなくても常闇を払ってくれた??!」
女性
「本当に勇者サマだったら、魔王なんて誕生させるわけないものねぇ? 悪魔の子はこのまま英雄グレイグ様に成敗してもらったらどうかしら!」
グレイグ
「皆何を言って??。どいてくれ、ジュイネはまさか??そこにいるのかッ?」
ペルラ
「あぁ、グレイグ様??あたしの大事な子が」
エマ
「ジュイネが、暴行され続けて??」
憔悴しきって地面にへたり込んでいるペルラとエマを目にし、取り囲まれている存在に気付いて人垣をかき分けるグレイグ。
───人々に取り囲まれていたその中央には、髪と衣服が大いに乱されて血痕が所々に見受けられ、横向きに倒れたままぴくりとも動かないジュイネの姿だった。乱れた髪が顔にかかっており、表情は窺えない。
グレイグ
「何故、このような???ジュイネが、何をしたというのだ」
初老男性
「英雄殿、それはもちろんこやつが魔王を誕生させた悪魔の子だからですぞ。親しい者をこやつのせいで失った者達が、恨みを晴らしていたのです??!」
グレイグ
「待て??待ってくれ。それならば私の方に罪がある。16年もの間、魔王となる為に暗躍していた存在が間近にいながら気付けなかった俺に。ジュイネには、何一つ非は無い??! 自ら望み、勇者になったわけではないのだッ」
中年男性
「それは言い訳ですよ。そいつは自ら勇者だと、デルカダール城に名乗り出たそうじゃないか。勇者の紋章とかいうものを左手の甲に持ち、滅亡した王家のペンダントを携えて。??その勇者サマが魔王を誕生させる為に旅をしていたなど、
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