男装の勇者
第五話:奪われしチカラ
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ムダに着くとそこはベロニカとセーニャの故郷だったらしく、長老ファナードや里の人々は双賢の姉妹が勇者を連れてきた事を歓迎した。ラムダの里から始祖の森へ向かうのは翌日にして、一行は宿屋で休む事になったが、ジュイネは中々眠れずに夜中一人宿屋を抜け出し外のテラスに一本生えている木の幹に座って寄り掛かり、瞬く星空をぼんやりと眺めていた。
??すると突然、背後から目元を塞がれる。
ジュイネ
「わっ、ぇ、なに???!」
「騒ぐな???オレだって」
その声はカミュだった。背後から音も無く素早くジュイネの目元を片手で塞いだらしい。
ジュイネ
「お、驚かさないでよ??。手、目元から放してくれないかな??」
カミュ
「それより聞かせてくれねぇか??何でオレを急に意識し出した? ホントにオレをスキにでもなったのかよ」
ジュイネ
「な、な??仲間として、スキ??だし、他のみんなだって」
カミュ
「正直に答えてくれ」
何故だかその一言が酷く冷たく感じ、目元を塞がれたまま観念したようにジュイネは答える。
ジュイネ
「────。高熱を出して寝込んでる時に、夢の中にカミュが出て来て、それで???」
カミュ
「それで、どうした? ??夢の中のオレは、お前を襲いでもしたか?」
そこで無意識の内にジュイネの身体がびくっと反応した為、察したカミュは小さな溜め息をつく。
カミュ
「はぁ??、オレを妙に意識し出したのはそのせいかよ」
ジュイネ
「ごっ、ごめん??。僕の勝手な、夢の中の話??なのに」
カミュ
「───夢じゃなかったら、どうするよ」
ジュイネ
「???ぇ?」
ジュイネは耳を疑ったがカミュの声は至極冷静で、塞がれた目元から片手を未だ放してくれず背後から耳元に囁くように話してくる。
カミュ
「お前が高熱に浮かされてる時??グレイグ将軍の名を口にするもんだから、お前の心が完全に奪われちまう前にオレのモノにしちまおうと思ってな??。他の奴らを個別にスリープダガーで眠らせといて、お前を独り占めしたんだぜ」
ジュイネ
「夢じゃ、なかったの???? けど目が覚めた時、マルティナやベロニカ、セーニャは何事も無かったように僕を看病してくれてた、のに」
カミュ
「そりゃアレだ、事が終わった後目が覚めた三人はオレに眠らされた事なんざ覚えてなくて、お前の看病に戻っただけだぜ。んでオレは、後処理も兼ねて小屋からしばらく離れといたんだ」
ジュイネ
「────。グレイグ、将軍と話してたって聞いたけど」
カミュ
「やっぱその事が気になるか? 残念だがお前に話して聞かせる内容じゃねぇよ。??高熱出して動けないお前を襲うのは簡単だったが、まともな状態だろ
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