暁 〜小説投稿サイト〜
銀河を漂うタンザナイト
テルヌーゼンと会議室と・・・
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ヤン、貴方と同じ事を・・・でも、なら今日のようなことはしないで、分かるでしょう?私たち反戦派グループは補欠選挙で独自の候補を立てて戦っているの、貴方達が来るまでは優勢だったのだけれど」
「すまない・・・私達の軽率な行為で、謝るよ…」
「もういいわ。今日は本当にごめんなさい・・それと事を表沙汰にしないでくれたことを感謝するわ・・・それじゃ、さよなら・・・」
「ああ…」
「また会おう」

そう言うとジェシカ達は部屋から出て行った。残された二人は、ただ黙って見送るしかなかった。
結局のところ、テルヌーゼンの代議員補欠選挙は反戦派の勝利に終わった
一時、ヤンの登場で圧倒的な劣勢に陥り、独自に立てていたソーンダイク候補すら爆弾テロで暗殺される窮地に立たされた反戦派であったが、新たに弔い合戦の旗頭として悲劇のヒロインとして知名度の高いジェシカ・エドワーズが候補として前面に押し出る事によって見事な大逆転勝利をおさめることになるのだった。この事は、テルヌーゼンのみならず自由惑星同盟全体において大きな話題を呼び、到着時の二人の行動がいかに危険であったかということを、改めて二人に知らしめるものでもあった。
そして、ヤンとクロパチェクは、この選挙が終われば、しばらく休暇になるだろうと思っていたのだが、それは間違いであると悟ったのだった。そしてその原因はテルヌーゼン大議員補欠選挙の間に起こった事件がきっかけとなっている。なお士官学校創立記念式典は特に何事もなく無事に終了しているが、ソーンダイク候補暗殺に際してヤンは

「民主主義への冒涜であり、到底許容できるものではない」

クロパチェクは

「自由惑星同盟と言論の自由そのものへの挑戦とも言え、強い怒りを覚えた」

とお互いにコメントを残している。



宇宙歴796年8月6日自由惑星同盟 首都ハイネセン 最高評議会ビル

自由惑星同盟最高評議会は国家元首である議長を含む十一名の評議員で構成されている。その内訳は国防委員長、副議長兼国務委員長、書記、財務委員長、法秩序委員長、天然資源委員長、人的資源委員長、経済開発委員長、地域社会開発委員長、情報交通委員長で、同盟の主要な政令の決定や公務員事業の把握、各機関の予算配当などを司る。
現在の評議会は議長であるロイヤル・サンフォードを始めとした中道保守派の多数派である民主社会党、それと少数派で主戦派筆頭の国民共和党と反戦派である自由社会党の三党で構成された連立政権だった。現政権の評価に関しては社会システムの停滞や汚職の発覚により支持率を大きく下げており、支持率は31.9%、不支持率は56.2%であり、翌797年早々に予定されている選挙では、和平派と最強硬派という両翼からの挟撃によって過半数を割ることが明確となりつつあった。この評議会が、ついに
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