テルヌーゼンと会議室と・・・
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」
男の名はレイモンド・トリアチ。トリューニヒトも属する有力政党の国民平和会議テルヌーゼン支部長にして、今回の選挙で選出されたテルヌーゼン選挙区補欠選挙の立候補者の一人だ。そして空港に着くや否やのタイミングで、取材陣やトリアチに囲まれたヤンはまんまと主戦派陣営の策に嵌められてしまい、トリアチの応援の為に駆けつけたかのような報道をされる事になる。ヤンは不快そうな顔をし、クロパチェクはトリアチ候補にマスコミの前で
『自分達は軍人なので特定の候補を応援するようなことはしません』
と釘をさすものらりくらりと流されてしまい、なぁなぁにされてしまっていた。
この結果、補欠選挙における反戦派陣営に傾いた流れは一気に主戦派側へと雪崩をうって変わる事になってしまう。
なんといっても、彼らが好む好まないに関わらず大人気の若い英雄が応援に来たという効果は非常に大きいのだ。
一方この結果、有利であった状況から一転して不利な状況に陥った反戦派は、この選挙において敗北が濃厚な情勢となる。
結局、ヤンはトリアチの政略に引っ掛かってしまったわけだが、これが彼個人が意図したことでは無く、あくまでもトリューニヒトが彼の保護者たるシトレを経由して出した命令による物であり、なおかつ彼は民主主義国家の軍人として命令には従わざるをえない立場にある事を考慮すれば、彼が悪いとは言い切れないかもしれない。しかし反戦派の方はそう考えなかった。
夕方 ホテルにて
「はぁー、こんな所まで来てクロパチェクと一緒に政治ショーに付き合わされるとは思わなかったよ。やれやれだ・・、私等二人は主戦論者の応援に来たようなもんだ」
ヤンは部屋に入るとソファーに座って大きく溜息をつく。
「全くだ、あの候補、俺達を利用して票集めをしやがった…」
クロパチェクは少なからず苛立たし気にこたえると、部屋のバルコニーに出てシガレットを咥えて火をつける。
「私は、ここ最近面倒ごとを一つ片づけることに二倍になって降りかかってきているんじゃないかって思うことがあるよ」
「同感だよ」
そう言うとクロパチェクは煙草を吹かす。
このように二人して部屋でぶー垂れておりTVの選挙報道をみながら、あーでもないこーでもないと言いながらぼやいている二人を見かねたユリアンが紅茶でも入れましょうかと、二人に提案したとき、部屋のブザーが鳴り響いた。
「…誰かルームサービスでも頼んだか?」
「いや、私は頼んでない」
二人が不思議そうな顔をしながら顔を見合わせていた。
「まぁ、俺が出てみるよ」
というクロパチェクの申出を遠慮してユリアンは玄関まで行き扉を開けると、数名の男たちが部屋へと駆け込んできた。
「ヤン・ウェンリーとアラン・クロパチェクだな!!」
「よくもあんな
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