失われし時の復讐者
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無能な勇者の守り手だけはあるね」
「ジュイネ??あんたは魔王なんかじゃない。その証拠に??左手の甲のアザがまだ、うっすらと残ってる。あんたはまだ、魔王になりきれてなんかないわ」
「あぁ??確かに、ね。けどこのアザを完全に消す方法はあるよ。勿論、罪深き勇者様の存在を消せばいいだけの話さ」
魔王の剣を薙ぎ払い、ベロニカとジュイネを後方へ吹き飛ばす。
「小さな身体を張って愚かな勇者を護るお姉様??泣かせるなぁ。それだから、一度死んじゃったんだもんね」
魔王の剣を引き摺りながら、折り重なり倒れている二人の元へおもむろに近づく。
「そんなに仲良く一緒に消えたいなら、そうしてやるよ??バイバイ」
「────っ!」
瞬時に起き上がって勇者の剣で魔王の剣を弾くジュイネ。
「??往生際の悪い勇者様だな、そんなに自分の作り出した罪と向き合いたくな───」
勇者の剣をつと手放したジュイネは、魔王と名乗るジュイネの首の後ろに両の手を回し身体をぎゅっと引き寄せ、その際相手の黒のフードが脱げて同じ顔がはっきりと露になる。
「何のつもりだ??気持ち悪い奴だな、やめろ」
突き放そうとするが、されるがままになっている。
「身体をあげるから??僕の身体を、好きに使っていい。君が、魔王になる必要はないよ」
「ふざけるなよ無能勇者が??!」
傷を負っている左肩に齧り付く。
「ぐっ??、ふざけて、いないよ??僕は、本気だ」
「ほう??いいのか? そんな事をすれば、俺はお前の仲間全員を殺すぞ。お前の育った村も、幼なじみも、育ての母親もな」
口から血を滴らせつつ、耳元で囁かれる。
「いいや??君はそんなことはしない。出来ないんだ、きっと。さっきまでチャンスはいくらでもあったのに??誰も殺せてない」
「言わせておけば??!」
乱暴に突き放して仰向けに倒しその上から魔王の剣を胸元に突き立てようとする。
「ほら??やっぱり、手が止まってる。テオおじいちゃんの言葉、覚えてるんだね??『人を恨んじゃいけないよ』って」
「うるさい??うるさ───っ?!」
仰向けに倒れているジュイネが自ら魔王の剣の切っ先に胸元を刺されに起き上がる。
「!! なん、で」
「ふふ、平気だよ??これは元々、勇者の剣だよ???」
口から血を流し胸元を自ら刺されると、その魔王の剣先から形を変えてゆき元の勇者の剣へと戻ってゆく。
「????!」
「そうだ??これが元々、本来の世界の勇者の剣??。僕はそれを魔王の剣ごと壊した??無かったことにした。ベロニカを失って、みんなで心を込めて創った勇者の剣も、時を遡る際に壊
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