失われし時の復讐者
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」
「最初はわけが分からなかったね??聖地ラムダの大聖堂から突然異空間に追いやられたんだから。その際に景色が遠のいて行く僕と、その景色に向かって前進して行く“もう一人の僕”を見掛けた??何故だか冷静に悟ったよ。あぁ、知らない未来の“僕”に成り代わられたんだって」
「???!」
「それから一体どれだけ時空の狭間を彷徨ったかなぁ??時間の感覚なんてとっくに忘れちゃったよ。その間ずっと君に取って代わられた時間軸を探してたんだけどね??君は勇者として全う出来たけど、僕は“失われし時の復讐者”として覚醒しちゃったんだよ」
「失われし時の、復讐者??」
「この剣??見覚えあるだろう?」
左手の平から右手を水平になぞるように“それ”を出現させる。
「ジュイネ様が、私達を守る際に使用していた禍々しい大剣ですわね??」
「そう??魔王の剣だよ。勇者が魔王を誕生させ勇者の剣を魔王の剣にさせられてしまった??真の勇者の“君”が粉々に壊してしまってから何故だか僕の手元に新品同様に納まったんだよ。だからこそこの剣の力で、時間は掛かったとはいえやっと“こちら側”へ来ることが出来たんだけどね」
「魔王の剣??? 何を言ってるのよ、魔王はこの世界で誕生してなんかいないわ!」
「─────」
「そうだよベロニカ、“この世界”ではね。だって命の大樹での件で彼が魔王誕生を阻止したから。??元の世界では多くの命を犠牲にして魔王を誕生させてしまった罪深き勇者様、だからね?」
「元の世界で、魔王を誕生させた???」
「あぁベロニカ、君が───」
「やめろ!! それ以上??言うなよ」
もう一人の自分らしき者を、ジュイネは睨み据える。
「フフ??どうしても無かったことにしたいんだ、“お前”は」
「なら??なら“お前”は、僕と同じ状況であんなこと、になったら??そうしなかったって、言えるのか」
「そうしようがないもの、だって“お前”の決断が僕を生んだのだから」
「???っ!」
「ジュイネ、もうそいつに耳を貸さないで。話すだけ無駄よ!」
「僕が放り込まれた次元の狭間では、不思議な事に君が経験した記憶が逐一僕に流れて来た??。仲間とより一層絆を深めたみたいだよねぇ、“君”は。“僕”が経験していない元の世界でも、遡った過去ですら。“僕”はさぁ、ほら??命の大樹に向かう直前に君と強制的に入れ替わっちゃったから、仲間だったはずのみんなと完全に切り離されてしまったんだよねぇ」
「????」
「理不尽じゃないか??どうして世界を救い直した“お前”だけ幸せになるんだ。“僕の”居場所を、奪っておきながら」
魔王の剣をジュイネへ向ける黒フードの青年。
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