失われし時の復讐者
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あるジュイネと命の大樹の魂を危険に晒してしまったものね。勇者を守る双賢の姉妹として、我ながら情けなかったわ??」
「ジュイネ様自ら敵の謀略に気づき、強力な闇の力から私達を守って下さったんですものね??」
「????」
「さっきから黙っちゃって、どうしたのよジュイネ?」
「───大樹の魂から、何かが出て来ようとしている??! 二人共、下がって!」
「えっ、急にどうされたのです? そんな険しいお顔をされて───あっ」
セーニャは息をのみ、大樹の魂を覆っている蔦が解け中から黒い物体が唐突に現れる。
「──??ふうぅ、やーっと見つけたよ、“僕”を」
「“お前”は??何者なんだ」
「あれぇ? フードを被ったままじゃ分からない? 僕は“君”だよ、そして君は“僕”」
「ふざけた事抜かすんじゃないわよ、ジュイネはこの世にただ一人しか居ないわ! あんた何者よ、大樹の魂から出てくるなんて、随分と御大層な出現の仕方ねっ」
「待って下さい、お姉様??! この方は───」
「ははっ、ベロニカは手厳しいなぁ。セーニャは分かってくれてるみたいだけど??君はどうかな、ねぇ??ジュイネ?」
相手は黒いフードの中から怪しげな笑みを浮かべている。
「(彼は、本当に僕なのか??? 確かに、黒のフードを被って目立たないように行動していた時期はあったけど??あの頃の僕というわけじゃ、ない気がする)」
「過ぎ去りし時を求めた勇者??色んな君を見てきたよ。“僕”がしたかったこと、出来なかったことをする“君”をね」
「(??っ! まさか)」
「この紛い物! ジュイネを訳の分からない戯言で惑わすんじゃないわよ! 世界が平和になって魔物もいなくなったはずなのに、まだ闇の力に脅かされているのかしら??ならここで成敗するまでよっ!」
ベロニカは杖を構えた。
「駄目ですお姉様、お止め下さい!!」
両の手を広げ、黒のフードを被っている青年の前を遮るセーニャ。
「あんた、何でそいつを庇いに出るのよ! そいつは得体が知れないわ、危険よっ!」
「だって??この方も私にとって、ジュイネ様なんですもの! 私には、何となくですが分かるのです??勇者としての使命を果たせなかった、もう一人のジュイネ様だと」
「なんですって???」
「(使命を果たせなかった、もう一人の??僕。それが本当なら彼は、“あの時”の)」
「そうだよ、気づいてくれたね。───“君”が時を遡った際にその時間軸から弾き出された、もう一人の“僕”をさ」
「時を、遡った??? どういうことよ、ジュイネ」
ベロニカに問われても、ジュイネは答える事が出来ない。
「????
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