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夢幻水滸伝
第二百四十九話 義侠心を胸にその十二
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「敵は大きな打撃を受けてです」
「我々に対する力を失いますね」
「降らせたければ勝てと言うのなら」
 それならというのだ。
「勝ちます」
「そうするまでですか」
「はい、ですから」
「これよりですね」
「その様にして戦います」
 こう言ってだった。
 紅美はその言った通りに軍を動かして攻めてだった。敵の水軍に大打撃を与えて降した。そして敵が降伏するとすぐに全軍に命じた。
「敵だった者達の手当てと復活、行方不明者の捜索を行います」
「先程まで敵でしたが」
「それでもですか」
「その様にされますか」
「敵であろうとも人は人です」
 このことに変わりはないというのだ。
「ですから戦が終わればです」
「助ける」
「そうされますか」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「そうします、いいですね」
「わかりました、では」
「次はそれにかかりましょう」
「菖様の言われる通りです」
「戦が終わればそうすべきですね」
「そうです、私も動きます」 
 紅美は自分も救助と回復にあたった、術で死んだ者も蘇らせて勝利の後の進軍を中止してまでそうした、それを見た周囲の民達は驚きの声をあげた。
「何と、敵だった者達まで助けるとは」
「しかもご自身が率先されて」
「素晴らしい方だ」
「星の方に素晴らしい」
「見事な侠気の持ち主だ」
 口々に褒め称えた、だが紅美はその声に喜ぶことなく当然としてだった。
 敵だった者達を助け捕虜にして後方に送った、そうして陣を整えて進軍を再開したが江陵に着く前にだった。
 敵の棟梁から話をしたいとあった、それでだった。
 紅美はそれを受けて自分が乗る空船の甲板で敵の棟梁である狸人の中年の女と会った、敵の棟梁は紅美の前にだった。
 右膝を着いて右手の平に拳にした左手を包んだ礼をしてそのうえで言ってきた。
「貴女様の行いを聞きました」
「行いといいますと」
「私の兵を全て救われたことを」
「先の戦ですか」
「はい、それを聞きまして」
 それでというのだ。
「感じ入りました、ですから」
「それでなのですか」
「もう戦うことはせず」
「降るのですか」
「私なぞより遥かに上の器の方とわかったので」
 だからだというのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「降ります、そして以後は」
 棟梁は紅美にさらに話した。
「私の民と兵を宜しくお願いします」
「それでは貴女は」
「私のことはどうしても構いません」
 これが棟梁の自分についての言葉だった。
「煮るなり焼くなりです」
「そうですか、それで貴女は最初は何をされていましたか」
「江陵の市長でした、周りに推挙されてです」
「江陵を中心とした勢力の棟梁にですか」
「なっていました」
「そうですか
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