第3話 森の賢王(前編)
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無しの巨峰のような柔らかさだ。
咀嚼する度に果実の味が変わり、色んな味にコロコロと変化する。
柑橘系の酸っぱさ。
メロンのような芳醇な甘さ。
マンゴーのような濃厚な甘さ。
柔らかい果肉から溢れる果汁が口の中に広がり、倦怠感が嘘のように吹き飛ぶ。
食べ続けるのにこれほど飽きないものはない。
そう思わせるほどの魅力が果実には詰まっていた。
「コレ以外食べたいと思えないのが難点だな」
ナバナはこの世界に転移して、何度か【トブの大森林】に足を運んでいた。
その中で森に実る果実やモンスターを始め鹿・兎のような動物も狩った。
その中で料理しようと試みたが、ニオイだけで不快になり、中断した。
果実を口にしようとすると、得体の知れない気持ち悪さを感じ、とても食べられなかった。
だがエントマはナバナが狩ってきた動物やモンスターをそのままボリボリと食べた。
逆に、ヘルヘイムの植物には興味すら持たれなかった。
他のナザリックの面々にしても同様で、果実を手に取ろうともしなかった。
この感動を分かち合いたいという感情と誰にも知られたくないという優越感は、その反応で見事に消え失せてしまった。
「理解されないってのは......寂しいもんだな」
剥かれた果実の皮を握りしめて、ナバナはアインズから貸し与えられた部屋を出た。
ーーーNow Loading......ーーー
ナバナが【トブの大森林】に足を運んでいるのは、動植物の生態系を調べる為のフィールドワークが主目的ではない。
勿論、そちらも重要なことなのだが、本来の目的は別にある。
「(確か......あの村娘は俺を【森の賢王】と呼んでいた。俺やアインズさんに匹敵する気配をこの森からは感じなかったが、YGGDRASILLのプレイヤー、あるいはそれに準ずる何かの可能性もある)」
先日、カルネ村を襲った連中の召喚した天使はYGGDRASILLに存在したモンスター達だった。
唱えられている魔法もYGGDRASILL由来の魔法だったとアインズも言っていた。
ナバナやアインズが転移する前にYGGDRASILLのプレイヤーがその魔法や技術・アイテムをばら撒いたのではないか、と言うのがナバナとアインズが導き出した結論だった。
その為、2人は別々に行動して情報を集める事にした。
アインズは冒険者サイドでこの世界で使える資金調達と情報収集を。
ナバナはそれ以外のルートでの情報収集とフィールドワークを。
「(本当に賢しい輩は闇に潜む。俺やアインズさんに気付かせない程の気配遮断が出来るとなると、カルネ村を襲った連中との一件も確認されているかもしれない......)」
やっちまったな、と頭を抱えながらナバナは【トブの大
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