捕らわれのマスター
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ンサーの触手が友奈の体に針を通していたのだ。
そして、静かに振り向いて、友奈はぞっとした。
ムーンキャンサーの触手、その内部に赤い液体が流動していた。
友奈の血液が、抜き取られている。
その事実に青ざめた友奈は、慌てて背中の触手を引きちぎる。
痛みを感じ、貧血により友奈は大きく揺れ動く。さらに、ムーンキャンサーは友奈へ無数の触手を放ってきた。
友奈を切り殺そうとする、ムーンキャンサーの触手。その攻撃一つ一つを、神樹の力である桃色の光で防いでいく。
しばらくして、ムーンキャンサーは触手による攻撃を収める。
異形の者同士、何かシンパシーを感じたのか、ムーンキャンサーと牛鬼は睨み合っていた。
「牛鬼……! 変身いける?」
友奈は右肩を抑えながら、スマホの牛鬼に確認する。
牛鬼は友奈に応えるように頷く。同時に、スマホから無数の花びらが舞い上がった。
友奈がスマホのボタンを押すのと、ムーンキャンサーが再び光線を発射するのは同時だった。
音速の光線は、友奈が変身する際に放たれる光の花々によって阻まれ、霧散する。洞窟内に反射される光は、そのまま洞窟の岩石を切り裂いていく。
勇者の姿に変身を完了させた友奈は、そのまま身構えて突進。アカネが捕らえられている腹部を避けて、その上部のムーンキャンサーの頭部へ拳を向けた。
「勇者パンチ!」
桃色の花びらとともに、友奈の主力技がムーンキャンサーに炸裂する。
ムーンキャンサーの軟体とした頭部が大きく跳ねる。
だが、アカネを捕えたままのムーンキャンサーの腹に影響はない。
友奈は歯を食いしばり、再び勇者パンチを身構える。
だが。
「っ!」
友奈は勇者パンチを即座に中断、アンチの前で両腕を交差させる。
両腕の間に半透明な花びらが咲き、大きな盾となる。同時に、そんな花びらへ、蒼い雷が飛んできた。
「ぐっ……!」
防御を貫通して、友奈を圧す雷撃。
花びらの防御が、雷と同時に消失、少しふらふらとしながらも、その雷撃の発生源を睨む。
「今の……!」
「おいおい……邪魔は止めてくれよ、セイヴァー」
ムーンキャンサーの背後に現れる蒼い闇。
「トレギア!」
その姿に、友奈とアンチは警戒する。
蒼い闇のサーヴァント、トレギアは、即座に腕に暗い雷をチャージ。暗い洞窟内で、即効性を持つトレギアのトレラケイルボスが、友奈の体を吹き飛ばす。
友奈はそのまま、アンチの前に転がり出る。
唇を震わせるアンチは、ずっとムーンキャンサーの胎内のアカネから目を離せない。
友奈はアンチを洞窟の外側へ押しやり、叫ぶ。
「トレギア……っ! アカネちゃんは、あなたのマスターでしょ!? 友達じゃないの!? 大切
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