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第三十話 部活をしてその八

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「その処罰はね」
「死罪なら切腹ね」
「そうだってね」
「それがなのよ」
「打ち首の場合もあったのね」
「流石に滅多になかったけれど」
 それでもというのだ。
「あるにはあったのよ」
「そうだったのね」
「大名の人でもなった人いるのよ」
「誰?それ」
「島原の乱の時のお殿様よ」 
 松倉という男だ、この乱の原因が彼のあまりにも酷い悪政の結果とわかったうえでのことであったのだ。
「あの人は打ち首になってるの」
「天草四郎の」
「そう、江戸時代のお大名でたった一人ね」
「打ち首になったのね」
「だから内匠頭さんもよ」
 今話している彼もというのだ。
「まだ切腹でね」
「ましなの」
「そう思ってよ」
 それでというのだ。
「よかったのよ」
「そうなるの?」
「幕府としてはそうでしょ」
「あんなことしたから」
「だからね」
 江戸城中で刀を抜いて朝廷の者まで招いた式典でそうして幕府の面子を潰したからである。
「まだよ」
「切腹で感謝しろ?」
「その処罰でね」
「そうした論理もあるの」
「そうなるかもね」
「そうなのね」
「というかね」
 母は娘に話した。
「間違っても暴力は駄目だから」
「その時点であの人負けね」
「内匠頭さんはね」
 まさにというのだ。
「もうね、それも大事な場で」
「抜いたらいけない場所で」
「立場ある人が抜くなんて」
 それこそというのだ。
「言い逃れ出来ないわよ」
「本当に切腹は当然ね」
「法律でも定められていたしね」
 江戸城ひいては江戸市中で刀を抜くと切腹だとだ。
「腰の刀と刀が触れ合って余計な騒動にならない様にもしてたし」
「江戸はそうだったの」
「だから右側通行になったのよ」
「あっ、そうなの」
「日本は右側通行でしょ」
「他の国は左側の国も多いけれど」
 一華は学校で他の国の友人達から聞いた話を思い出して話した、そしてこうしたことも母に対して話した。
「ポストが黄色かったり」
「国によってそれぞれでしょ」
「そうよね」
「それで日本ではね」
「右側通行ね」
「それはどうしてかっていうと」 
 そのはじまりはというのだ。
「大岡越前さんが決めたのよ」
「時代劇でも有名な」
「そう、あの人が刀と刀が触れ合わない様に」
 擦れ違う時にだ。
「それで余計な揉めごとが起こらない為にね」
「右側通行にしたの」
「お互いが右側だと刀は左の腰にあるでしょ」
「それだと触れないわね」
「そう、右側だと右手と右手が向かい合うから」
 擦れ違ってもというのだ。
「江戸はお侍多かったからね」
「あちこちに大名屋敷あって」
「それで旗本の人達も多くてね」
 幕府が直接召し抱えている者達もというのだ。
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