第三十話 部活をしてその七
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「それでよ」
「吉良さんも持っていなかったのね」
「そうだったのよ」
「だからまずは弓矢を駄目にしたのね」
「怖いのはそれだけだったから」
だからだというのだ。
「それであの人達鎖帷子も着ていたのよ」
「防御も完璧だったの」
「それで切り込んできたから」
「吉良さんも戦ったけれど」
「討ち取られたのよ」
「そうなったのね」
「吉良さんは実は悪人だったか」
創作ではやたらそうなっているがというのだ。
「実は地元では名君でね」
「いい人だったの」
「恨まれる人でなかったのよ」
「そうだったのね」
「実際内匠頭さんに意地悪もしていなかったし」
烏帽子代紋や鮒侍の話も嘘だったらしい。
「その時内匠頭さんが大仕事でストレスが溜まっていて」
「そこでちょっとしたことでなのね」
「切れてね」
ことの真相はそうだったという、実際に。
「よりによって江戸城の中で刀抜いてね」
「吉良さんにいきなり切りつけた」
「そんな馬鹿な事件がはじまりだったのよ」
「吉良さんいい迷惑よね」
「批判された幕府もね」
ひいては大切にしている生母の官位を授かる式を台無しにされた徳川綱吉もだ。
「いい迷惑だったのよ」
「全然違うわね」
「実際はね」
「いや、色々言われてるお話だけれど」
「そもそも刀抜いたら駄目でしょ」
「絶対にね」
「何でも手を挙げたら負けよ」
その時点でというのだ。
「暴力を振るったらね」
「その時点でよね」
「そしてね」
母は娘にさらに話した。
「刀は武器でしょ」
「人を殺せるわ」
「そうしたものだからね」
「尚更よね」
「抜いたら駄目よ」
絶対にというのだ。
「内匠頭さんはそれをしたからね」
「悪いわね」
「切腹になったこともね」
「当然なのね」
「確かにお大名でその日のうちにお外では格式が悪いけれど」
当時は何と言っても格式が重要であったがだ、徳川綱吉が激怒のあまりそれを忘れたことは事実である。
「幕府としては幕府のメンツも将軍様のそれも潰したから」
「だからよね」
「怒って当然で」
それでというのだ。
「むしろ切腹でよかったと思えってね」
「思ってたのかしら」
「打ち首でないだけね」
「武士も打ち首あるの」
「あったわ、普通は武士は切腹だけれど」
それでもというのだ。
「あまりにも罪が酷いとよ」
「打ち首もあったの」
「そうなのよ」
「武士は切腹と思っていたわ」
「時代劇では大抵そうよね」
「もう武士が罪を犯したら」
それこそというのだ。
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