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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第四章 〜魔力(チカラ)の意味〜
その三
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ちゃん、それに柳ちゃんも。今帰り?」

「はい。亜沙先輩も今帰りですか?」

「うん。ちょっと料理部のほうに顔出してたら遅くなっちゃって」

 通常、受験生である三年生はこの時期には部活を引退しているものだが、彼女は例外のようだ。流石に部長からは退いているが。

「あれ? その子は……」

 とそこでデイジーに気付いたようだ。

「始めまして、時雨先輩。2ーDのデイジーといいます」

 先程までより声や表情が若干硬い。この少女は基本的には人付き合いがあまり上手くない。

「ボクは時雨亜沙。クラスは3ーBで、料理部所属。稟ちゃんとは先輩後輩以上恋人未満な関係。よろしくね」

「ちょっ、亜沙先輩!?」

「……土見さん」

 ジト目のデイジー。無理もない。シアだけでなく、ネリネや楓からも好意を寄せられているというのにさらにこれなのだから。そんな三人をシアは苦笑しつつ、柳哉はにやにや笑いながら眺めていた。

「それで? デイジーちゃんは稟ちゃんの新しい恋人候補、ってことでファイナルアンサー?」

「「いえ、違いますからね!?」」

 見事にハモる二人。

「そうなの!? 稟くん、デイジーちゃん?」

 食いつくシア。これもまあ、いつも通りといえばいつも通り。


          *     *     *     *     *     *


「ん? あれは麻弓じゃないか?」

 それを聞いて柳哉の示した方を見ると、校舎から出てくる人影があった。

「ああ、そうだな。でも何かフラフラしてるぞ?」

 稟の言葉通り、その足取りはどこか頼りない。

「ああ、そういえば」

「何か知ってるのか?」

 頷き、説明しようとした柳哉だが、

「はぇ〜……やっと終わったのですよ……」

 麻弓のその台詞で思い当たったのだろう。稟やシアも納得したように頷いた。

「麻弓ちゃん、補習授業お疲れ様」

「やめて……思い出させないで……」

 本日の世界史の授業にて抜き打ちテストが実施され、麻弓一人だけが赤点をとってしまい、某熱血教師による補習が行われ、つい先ほど解放された、という訳だ。柳哉が職員室ではなく、2−Cの教室で撫子と話していたのはそういう理由である。

「ほぇ〜……」

 まるで魂が抜けたかのような声を出す麻弓。普段ほとんど使わない頭を酷使したせいでオーバーヒートでも起こしているのだろうか? その様子を見て、やれやれと言わんばかりに柳哉が麻弓の前に立ち、その手を麻弓の額に当てる。

「ふえっ!? ふあ〜……冷たくって気持ちいいのですよ……」

 柳哉の行動に驚く麻弓だったがすぐにその表情が緩む。

「何やってるんだ?」


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