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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第74話 休暇はあらず
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「第四四高速機動集団司令部にはいろいろと評判の赤毛の美少女がいるとクブルスリーが言っていたが、彼女がその理想の女性候補かね。たしか君の好みは……」
「ほっそりした顔に赤茶色の長いウェーブで、肌がきめ細かくそれなりに均整の取れた体の持ち主ですね。声が綺麗で、ちょっと拗ね気味で、頭が悪くなければいう事なしです」
「そうだったかな?」
「そうですよ」
「いつまでも過去を引きずるのは良くないから、新しい女性との出会いを見つけるのもいいと、私などは思うんだがね。これは余計なお世話だとも思うが」

 嫌な返し方をされ、俺は返す言葉もなくワインクーラーから店一番と評判の白ワインを手に取ると、手酌で乱暴に注ぎ込むのだった。





 八月一〇日。ようやく国防委員会と最高評議会の承認が下り、ロドニー=サイラーズ『大将』が宇宙艦隊司令長官に就任した。まずは軍内部の人心安定と、外部からの批判を柔軟に受け止める時間的猶予を確保することが最優先であるということかもしれない。

 すでに執行されたもの以外で人事異動が振るわれたのは第四次イゼルローン攻略に参加した部隊のもので、それも艦隊司令官の更迭というような大規模なものではなく、部隊再編までの一時待命といった先送りがほとんどだった。個々のの戦闘では功績を上げているわけだから当然と言えば当然だし、事実上の長官更迭で責任は全部退役元帥に負ってもらうことで、軍内部は一息ついた形だ。作戦指導した幕僚上層部もクビにしてしまえと俺も思わんでもないが、そこまで踏み込まないということだろう。

 そしてようやくというかエル=ファシル奪回作戦に参加した部隊にも論功行賞が行われた。第四四高速機動集団司令部内では、第三部隊指揮官ネリオ=バンフィ大佐(代将)が正式に准将になったのと、ファイフェルがそれまでの功績を加味されて『職責そのまま』で大尉になっただけだった。爺様には昇進の代わりに自由戦士一等勲章と国防功労勲章が授与されることになる。奇跡に近いという評価も、一気に爺様を中将に昇進させるには不足というか、もう少し時間とポストが空くのを待ってから、といったところだろうか。

 俺も昇進はなかったが国防従軍記章を授与された。流石に勲章の入っていた小箱を石?入れにするつもりはなかったが、失くすと後が面倒なのでクリーニングから戻ってきた礼服のカバーに放り込んでおいた。どうせつけるのは礼服を着る時だけだし、略章も普段からつける義務もないわけだから一緒。同じ記章を授与され昇進もなかった他の司令部の三人はというと、モンシャルマン参謀長は「妻(奥さん)に預けた」、モンティージャ中佐は「情報部のロッカーに放り込んだ」、カステル中佐は「メダルマニアの甥に預けた」という。揃いも揃って名誉欲というか見栄っ張りでないことが分かって、何
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