第四章
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「まさにな」
「はい、それでは」
「気に入っていたがな」
「それでもですね」
「ああした人間は会社に置いておけない」
自分の傍どころかというのだ。
「会社の癌になる、いや」
「既にですね」
「なっている、癌細胞は除去しないとだ」
「死んでしまいます」
「人間も会社もな」
「それではですね」
「すぐに除去しよう」
小柳に強い声で述べた。
「部長の中谷君にも話そう」
「それではですね」
「彼は懲戒免職だ、そして刑事告訴だ」
「横領の罪で」
「文書偽造も含めてな、しかもだ」
社長はさらに話した。
「彼はライバル企業にも情報をか」
「お金を貰ったうえで」
「流しているとなるとな」
「尚更ですね」
「あらゆる悪事を行っているな」
「そうした奴だったということです」
「口ではいつもいいことを言っていたが」
社長はまた苦い顔で述べた。
「だがそれは」
「はい、実はです」
「口だけでか」
「その実はです」
「碌でもないことばかりしていたか」
「そうなります、何年か前に離婚していますが」
小柳は尾谷のプライベートのことも話した。
「これもです」
「彼に問題があってだな」
「娘さんの親権は奥さんが持ってです」
そうしてというのだ。
「慰謝料だけで面会も認められていませんから」
「相当なことがあったな」
「どうやら。そしてその慰謝料もです」
これもというのだ。
「何だかんだと理由を付けてです」
「支払っていないか」
「踏み倒しています」
「やはりそうしているか」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「会社でも家庭でもです」
「碌でもない奴か」
「そうです、では」
「すぐに中谷君と話してな」
社長は小柳に強い顔と声で述べた。
「そしてだ」
「懲戒免職とですね」
「刑事告訴を行う」
こう言ってだった。
社長は即座に中谷と話したうえで尾谷の懲戒免職と刑事告訴を決定した、それを受けて尾谷は蛸の様な丸い目とやはり丸く分厚い唇を持つ口で抗議した、小柄で黒髪を右で分けていて色白だ。目の光は随分剣呑そうで眉は太い。
「何で俺がクビで訴えられるんですか」
「僕は馬鹿だったよ」
中谷は穏やかだが強い声で言った、黒髪を短くしていて顎がしっかりとした形である、小さめの丸く穏やかな目で唇は薄く大きい。背は一七〇程だ。
「君を知らなかった」
「俺をですか」
「もう全て聞いた」
尾谷本人に告げた。
「そういうことだ」
「俺の全てを」
「そうだ、モラハラやパワハラにだ」
同期や後輩、部下に対するそれをというのだ。
「悪質な妨害行為、横領に文書偽造にな」
「くっ・・・・・・」
「君はこの会社にいらない」
こう言い切った。
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