第二章
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「お前がいた方がいい」
「そうなりますね」
「それではだ」
腕を組んで考えるお顔になってです、ガイウスは言いました。
「お前が毎日葡萄を一房食ってもな」
「いいですが」
「その手間そして下手をすればその時毒蛇に噛まれる危険を考えるとな」
それならというのです。
「葡萄の一房位いい」
「それでは」
「これからも来い」
ガイウスは言いました。
「そして食っていけ」
「そうさせてもらいます」
「ではな」
こうしてでした。
狐はそれからも葡萄畑に来る様になりました、しかもです。
「一家でか」
「最近鼠や鳥が増えまして」
「そういえばよく見るな」
ガイウスは自分の奥さんや子供達を連れてきた狐に応えました。
「近頃は」
「それで一家揃ってです」
「これからはか」
「食べてです」
「腹を満たすか」
「そうすればいいですよね」
「それでそういった連中がいなくならな」
畑を荒らしたり危ない生きもの達がというのです。
「それならいい、ではな」
「はい、それでは」
「食っていけ、葡萄もな」
「そうさせてもらいます」
狐は笑顔で言ってでした。
そうして鼠や鳥それに蛇達を一家で食べてです。
葡萄も食べました、ですがガイウスはユリアに言いました。
「もうな」
「怒らないのね」
「当然罠もな」
これもというのです。
「仕掛けないぞ」
「そうするのね」
「ああ、畑を荒らす生きものを食ってくれるならな」
「それでいいわね」
「鼠や鳥にしろな」
畑を荒らす彼等にしてもというのです。
「木や葉につく虫を食ってくれるしな」
「虫も困るのよね」
「その虫を食ってくれるからな」
だからだというのです。
「迷惑なだけじゃない」
「蛇だってその鼠や鳥を食べるし」
「それぞれ役立ってくれている、ならな」
「狐も捕まえないし」
「狐が獲るあいつ等もな」
「獲らないわね」
「そうするな、むしろ変に獲ったらな」
自分達がというのです。
「連中なり虫なりが増えてな」
「かえって面倒なことになるわね」
「ああ、だからな」
そうなることが明らかだからだというのです。
「これからはな」
「狐が葡萄を取っても」
「働いてくれた分の報酬としてな」
「いいとするのね」
「そうだ、葡萄人房で畑の鼠や鳥や蛇を食ってくれるんだ」
「それならね」
「葡萄の一房位安いものだ」
奥さんに笑顔で言ってでした。
ガイウスは狐と彼の一家が畑に入っても何もしなくなりました、畑は彼等が畑を荒らしたり人を襲いかねない生きものを食べてくれるので何時までもいい畑でありました。見事な葡萄が何時までも実っていました。
狐と葡萄畑 完
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