第一章
[2]次話
熊のマタタビ
この時熊の神であるキンカムイは訳あって外に出ることを火の神であるアペフチカムイに言われていた。
しかも一家でだった。
「悪いが今は忌みでな」
「忌みか」
「カムイ達のな、それでそなたと家族もな」
「暫くだな」
「外に出るのを控えてもらいたい」
「わかった、忌みなら仕方ない」
キンカムイ、熊の姿でアイヌの服を着た彼は人の姿で頭が燃え盛る火になって赤い肌を持ちアイヌの服を着たアペフチカムイの言葉に素直に頷いた。
「それならな」
「では暫くな」
「家から出ない様にしよう」
このことを約束して妻や子供達にも話してだった。
暫く冬眠する様に家の中で寝て外に出ない様にした、だが末の娘は。
ついつい目が覚めるとどうしても外に出てしまった、すぐに戻ってまた寝たがそこをカムイ達を見張っていた主のカムイに見付かってだった。
忌みが済み外出出来る様になってだった。
目を覚ましたキンカムイにだ、アペフチカムイは話した。
「お主の末の娘がな」
「どうしたのだ」
「一度外に出たとのことだ」
「そうだったのか」
「出たのはそなたの末の娘だけだ」
アペフチカムイはキンカムイに話した。
「カムイといえどだ」
「約束を守らなくてはな」
「だからだ、そなたの末の娘はな」
「仕置きが必要だな」
「そうだ、そのことをカムイ達で話そう」
こうしてだった。
カムイ達の間でキンカムイの末の娘への仕置きが決まった。まずはだった。
サルナシの蔦から吊り下げられた、その娘やはり熊の身体にアイヌの服を着ている彼女を見てだった。
熊の身体にアイヌの服を着た彼の兄達姉達がアペフチカムイに言われた言葉をそのまま話したのだった。
「これから昼も夜もだ」
「お前は吊り下げられたまま風に揺られる」
「そして身体からマタタビの蔦が生えるわ」
「そうなるわ」
「えっ、あんな辛くてまずいものの蔦がなの」
末娘はその話に顔を顰めさせて言った。
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