第一章
[2]次話
観たくない理由
岡崎慎太郎はドラマが好きだ、そして特撮はさらに好きで毎週欠かさず観ている、会社でもこのことは有名だ。
「特撮なんて子供みたいだな」
「その子供の頃からずっと観てるんだよ」
岡崎は勤めているその会社で同僚にこう返した、一七七位の背で面長で小さい目である。眉は濃く太く短く唇は薄い。陽気な笑顔で黒髪は短くすらりとしている。
「そして面白いし色々勉強になるんだ」
「勉強にもなるのか」
「ああ、人生のな」
「それでか」
「ずっと観てるんだよ、下手な哲学書読むよりはな」
それよりもというのだ。
「特撮観る方がな」
「ずっといいか」
「そうだよ、だからな」
それでというのだ。
「これからもな」
「特撮観ていくんだな」
「そうしていくな、昔の作品もな」
今放送しているものだけでなくというのだ。
「時間があれば観てるさ」
「そうなんだな」
「ああ、これからもずっとな」
「特撮は観るんだな」
「そうしていくな」
こう言って実際にだった。
岡崎は特撮を観ていった、会社の中でも有名な特撮マニアで知らない作品はないのではとさえ言われていた。
それで新人OLの三輪空短めの茶色の髪の毛で上にまげを作っている顎の先が少し尖った大きな目と赤い唇を持つ一五五位の背の彼女が彼に聞いてきた。
「先輩特撮好きですよね」
「生きがいだよ」
岡崎は空に笑顔で答えた。
「本当に」
「そこまでなんですね」
「だからな」
岡崎は自分から話した。
「今放送中のだけじゃなくて昔のもな」
「ご覧になられてますか」
「そうだよ、昭和の頃のも」
この時代の特撮もというのだ。
「観てるよ」
「私達が生まれる前の」
「当然平成の頃もそうだよ」
「本当に特撮がお好きなんですね」
「ああ、だから何でも聞いてくれよ」
特撮ならとだ、岡崎は空に話した。二人は会社の中でよく特撮の話をし恋人同士ではないが非常に親しい間柄言うなら親友同士になった。
それである日のことだった。
空は岡崎に仕事の休憩時間に明るく言ってきた。
「超人戦隊エスパーマンご存知ですか」
「あ、ああ」
岡崎はそのタイトルを聞いて戸惑って応えた。
「戦隊シリーズだよな」
「はい、私この前観たんですが」
空は岡崎の戸惑いに気付かずさらに言った。
「凄くいいですね」
「あの作品そうだよな」
岡崎は暗い顔で述べた。
「キャラも脚本もストーリーもな」
「伊上利樹さんの持ち味が出ていて」
「俺あの人の脚本好きだしな」
「そうですよね」
「ああ、いい作品だよ」
「今一話から観てるんですが」
「面白いよな」
「はい、最後まで観ます」
空は明るい笑顔で言う、しかしだった。
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