第二章
[8]前話
「政の時に言うことがある」
「それは何でしょうか」
「明日わかる、今日は食して休む」
こう言ってであった。
王はこの時はただ食を楽しんだ、そして次の日だった。
王は玉座からだった、厳かに廷臣達に告げた。
「これより王宮の無花果は市場から買って手に入れてはならぬ」
「それはどうしてでしょうか」
「何故でしょうか」
「王は昨夜干し無花果を食されましたが」
「売っていた商人に褒美をあげられるのですね」
「何かお気に召されないことがあったかとはです」
「思えないのですが」
廷臣達は誰もが王の言葉に首を傾げさせた、特にだった。
昨夜王に干し無花果を出した宦官はとりわけ怪訝な顔になり王に問うた。
「あの、本当にどうしてなのか」
「それは買う必要がなくなるからだ」
王は笑って答えた。
「アテナイを手に入れるとな」
「何と、では」
「これよりですか」
「アテナイを攻められますか」
「アテナイだけではない」
王は廷臣達に笑ったままさらに答えた。
「余そしてこのペルシャが一つの街で満足するか」
「ではですね」
「アテナイだけでなくですね」
「ギリシア全体を絵に入れられるのですね」
「そうされるのですね」
「そうする、ではいいな」
廷臣達にあらためて告げた。
「これより王宮の無花果は市場では買わぬぞ」
「直接ですね」
「あの街から手に入れますね」
「そうされますね」
「その様にする」
こう言ってだった。
王は市場から王宮の無花果そのままのものも干したものも仕入れることはしなくなった。そうしてだった。
ギリシアを攻める準備に入った、そのうえで自ら大軍を率いてギリシア侵攻に移った。王がアテナイから無花果を手に入れられる様になったかどうかは歴史に書かれている通りである。
干し無花果 完
2022・2・16
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