第二章
[8]前話 [2]次話
「やっていいことと悪いことがあるんだ」
「全くですね」
「だから俺達は船を襲ってもものを獲るだけで後は放免だ」
「身代金を貰っても人質は返す」
「そうしてます」
「奴隷を売ってもいい商人に売ってます」
「そうだろ、それなら神様を捕まえたらな」
若しそうであるならというのだ。
「いいな」
「無礼はない様に」
「そうしないと駄目ですね」
「人として」
「人の道は守って」
「これがゼウス様なら美女か美少年を紹介してだ」
好色で知られるこの神ならというのだ。
「機嫌をなおしてもらうがだ」
「まあゼウス様って感じじゃないですね」
「そうした外見じゃないです」
「そっちの用意はしなくていいですね」
「今回は」
「ああ、僕はゼウス様じゃないから」
ディオニュソスは海賊達に笑って話した。
「安心してね」
「とのことだな」
「じゃあ誰なんだ」
「俺達も人間じゃないって思えてきたが」
「だとしたら一体誰なんだ」
「神様にしても」
「ここに空の樽があるね」
ディオニュソスは丁度自分に傍にそれがあることに気付いた。
「そうだね、ここに僕の力を見せよう」
「何と、樽がワインで満たされたぞ」
「赤いワインで」
「ワインを出したということは」
「この方はまさか」
「そのまさか、ディオニュソスだよ」
神は自ら名乗った。
「僕はね」
「そうでしたか」
「ディオニュソス様でしたか」
「神とは知らず失礼をしました」
「何と言っていいのか」
「あの、ここはです」
頭は驚く海賊達の前に出て恐縮して言ってきた。
「どうかご機嫌を直して下さい」
「本当に命を奪うとかは考えていなかったです」
舵取りも言ってきた。
「ですから」
「わかっているよ、これで人を好んで殺す様な外道なら僕も許さないよ」
ディオニュソスは笑って応えた。
「決してね、けれd君達は根っからの悪人じゃない」
「はい、何分わし等の村は海辺にありますが魚も少なく」
頭が答えた。
「こうしてです」
「海賊をするしかないんだね」
「それでしか生きられないので」
それが為にというのだ。
「仕方なく」
「事情はわかったよ、では他に生きる糧があれば海賊はしないね」
「これも厄介な仕事で」
海賊のそれはというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ