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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第121話:ギアと魔法の融合
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唾を飲んで見守る中、爆発により生じた黒煙が風に流され晴れていった。
煙が無くなるとそこには、周囲の建物を吹き飛ばし、ファウストローブも解除され元の子供の姿となったキャロルとそれを見下ろす響の姿があった。
それを見て誰もが思った。響の勝利だと。あれほどの力を見せつけた錬金術師のキャロルを、響が下して見せたのだ。
本部では切歌と調が勝利を確信し歓声を上げている。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
ボロボロの姿で荒く息を吐くキャロルに、響は静かに近付き手を差し伸べた。
「キャロルちゃん、どうして世界をバラバラにしようとなんて――――」
優しく差し出されたその手を、キャロルはにべも無く払いのけた。
「くっ!?」
「!?」
「……忘れたよ、理由なんて」
響の問いにキャロルは力無く答える。その答えは、答えたくないからではなく言葉通りの意味だった。
「想い出を焼却……戦う力と変えた時に……」
キャロルは長い年月の間に蓄えた想い出をそのまま力と変えている。しかしそれは、同時に戦えば戦う程過去を失っていくという事。野望の原点すら失いながら、尚も戦う事を止めようとしないキャロルの過去には一体何があったのか。響はその事を考えずにはいられなかった。
「……その呪われた旋律で誰かを救えるなどと思い上がるな」
「ぁ……」
戦った相手に対しても思いやりを捨てきれぬ響の心に、キャロルの呪詛のような言葉が浸み込んでいく。キャロルとしては、せめて一矢は報いたと言ったところだろうか。その言葉に僅かにでも動揺した顔を見せる響の顔を見て、キャロルがしてやったりな笑みを浮かべる。
だがそれは所詮負け犬の遠吠えに過ぎない。もうキャロルは詰みだ。この後は捕縛されて本部へ連行され、そして彼女の野望は潰える事になる。
それはキャロル自身も分かっていた。分かっているからこそ、このままここで捕まる事を良しとはしない。こんな時の為に、彼女は口の中に自決用の仕込みをしておいたのだ。
その仕込みを実行に移そうと、顎に力を入れようとした。
瞬間、不可視の拳がキャロルの鳩尾に食い込んだ。
「がぁっ?!」
「えっ!?」
突然叫びを上げたキャロルに響が目を見開いていると、何かがキャロルの体を優しく抱き上げた。傍から見ていると宙に浮いているように見えるキャロルだが、徐々にキャロルを抱き上げている何かは姿を現していった。
「ハ、ハンス――!? お前、何を――――!?」
キャロルの自決を止めさせたのは、ビーストに変身していたハンスだった。彼はカメレオンローブを纏い、姿を消した状態で響とキャロルの間に入ると自決しようとしたキャロルを殴って止めさせたのだ。
「悪いね、キャロル。で
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