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おっちょこちょいのかよちゃん
223 囚われた場所には
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ら卑怯と呼ばれて嫌われてしまった為に絶望していたのだ。それを(たまたま)私と出会い、その苦しみを打ち明けてくれた。それで私はこの坊やをここに連れて行き、苦しみのない生活を提供しているのだよ」
 妲己が説明した。
「苦しみのない生活・・・。藤木君、それで本当にいいのっ!?」
 りえは藤木に問う。
「・・・、いいんだ、僕は『あの世界』じゃ皆から卑怯って言われるだけなんだ。ここの生活がいいんだ・・・!!」
「まあ、お互い知り合いなら話も早いか。じきに祝言を取り繕う予定だ。私はこれで失礼しよう。杯の所有者、いや、今はただの『安藤りえ』か。お前の婿はこの藤木茂という坊やだ。お互い幸せになるのだ」
 妲己は部屋から出ていった。
「・・・りえちゃん、僕はまた会えてよかったよ」
 りえは藤木が少し泣いているのを確認した。そして藤木も部屋を出ていった。りえは藤木を追う。しかし、扉が開いていても外へは出られず弾き返された。
「この部屋からは私やこの屋敷の主人の許可がない限り外へは出られないようにしてある。お前が宿す異能の能力(ちから)を持ってしてもだ」
「そんな・・・」
 りえは完全に軟禁の身である事に改めて気づいた。
(杉山君っ、藤木君っ、どうして私の知っている『友達』が寝返っちゃうの・・・!?)

 藤木は己の部屋へ戻る。一人の遊女が待ち構えていた。
「茂様、お嫁さんと会えました?とても綺麗な人に違いありませんよね?」
「う、うん・・・」
「いいな、私がお嫁になれたら嬉しかったのに・・・」
「だ、大丈夫だよ。いつでも皆といられるだけでも嬉しいよ」
「ありがとうございます〜」
 だが、藤木はりえの言葉が気になる。
《苦しみのない生活・・・。藤木君、それで本当にいいのっ!?》
(でも僕は、もう戻れないし、戻りたくないんだ・・・!!りえちゃんにも解って貰わないと・・・!!)
 藤木は再会ともう離れる事はないという喜びで満ちていると共にりえが反発しているように見えていた。
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