そして日々はいとも簡単に壊れ
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。事象すら割断できる神格武装……そんな物騒なもんを持ってどこに行こうっていうんだいダっちゃん?」
「解らんか?」
返事は短い言葉と───地面から響く音であった。
地面が揺れている。
その事に酒井は驚いた。
何故揺れているのかではなく、この響きが昔、経験した揺れに似ている……ではない。何もかもが同じだからである。
「おいおい……ダっちゃん。これは───」
「久しぶりだろ? この揺れも。我らにとっては懐かしさを現すだろ? 昔はこんな風に地脈炉が暴走している中で我らは平気でメシ食ったりヤニ吹かせていたからな。まぁ、もっとも……こんな風に三つも暴走させたことはなかったがな」
「───」
予想していたとはいえその答えに酒井は愕然する。
無茶苦茶だ。
地脈炉の暴走と目の前の男はあっさり言っているが、事の重大さはかなりやばいの一言に尽きる。
かつて、重奏統合争乱が起きる前に、重奏神州の露西亜にて地脈炉が暴走自壊したことがある。その他にも八年前に信長の襲名者が現れたP.A.ODAもまた、地脈炉の暴走を利用して領地内に残るムラサイ反勢力を強制的に滅ぼした。
その滅ぼし方の結果は
「半径数キロの土地が消滅したんだぞ? それを五つも行ったら、名古屋どころか三河が消えるぞ!!」
「だからお前は老けたんだよ」
本多忠勝はただ笑った。
その微笑に酒井は何も言えなくなった。
ただ既視感を感じた。
この笑顔を見た事がある。そしてこの笑顔を浮かべた人間が最後にどうなっていったのかという事を。
「見ろよ。三征西班牙の武神だ。予定にない地脈炉の稼動に遅まきながら気付いて、偵察を行って来たんだろうさ。対空装備で上がってるたあ、運がねえ奴等と言うべきか、運が良いな我らと言うべきか。ともあれ番屋の連中も鎮圧用の山岳装備で纏まって来ているから、三河に乗り込んでも我らの優勢は揺るがぬわな」
言われた通りに空を見上げるとそこには人型の機械。
武神が空を疾っていた。その能力は一体一体でもかなりの能力を有しており、武神相手に一人で勝てるのは英雄クラス。
こっちだとミトツダイラか……副長くらいだろう。
しかし、そんな事は今はどうでもいい。
「どういう事なんだよダっちゃん……お前達は……一体何をしようとしているんだよ?」
「榊原から聞いているだろ?」
「榊原は消えたよ。公主隠しでな」
その言葉に本多忠勝はほう、と興味深げに呟き、そうかと前置きを置いた。
「残念ながらな。我は殿の命令で動いているだけだからな。井伊や榊原は何か知っているようだが、我は何も聞かされていない。ただ、殿から聞いているのは……」
一息を吐き、そして何でもなさそうに告げる。
「これが、創世計画の始まりだってことだ」
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