そして日々はいとも簡単に壊れ
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覚だ。それを持って彼女は何かを確実に聞き捉えた。
そしてその事疑問に思う人間はその場にいなかった。
トーリの呼び声で直ぐに皆は何も言わずに鈴の聴覚を邪魔しないために黙り、そして伏せる。
それのお蔭で鈴は他の余計な雑音に囚われずに、ただその変化を聞き取ることに集中できた。
そして見つけたのは───炎であった。
各務原の山渓。三河の聖連が監視する番屋があった場所ではとネシンバラが検討を付けるがここからではそこまでだ。
現状ではそこまでが武蔵の限界であった。
ちなみにその後、何故か東の服を引っ張っている半透明の幽霊少女に梅組全員が馴染みのリアクションを取るのだがそれとこれとは別である。
酒井忠次は走っていた。
いきなり響いた轟音に体が反射的に榊原邸を駆けていた。
正直何が起きているのかさっぱり理解できていない。
現にさっき起きていたことも理解できていない。
榊原康政が消えたのである。
比喩でもなんでもない。本当に榊原康政はこの三河から。もしかしたら世界からかもしれない。消えてしまったのである。
あの榊原がだ。
同じ松平四天王で、死線を何度も一緒に潜り抜け、もうこいつら何があっても死なないだろうと根拠なく信じていた仲間が呆気なく消えた。
聞くと同じ松平四天王の最後の一人、井伊直正も消えているという。
その現象の名は公主隠しと言われている、一種の神隠しかもしれないと言われている怪異だ。ある意味これも末世の証かもねぇと思考するが今はそんな所ではない。
その公主隠しに井伊はちょっと前に消え、そして榊原も今消えた。
そして不穏な事にメッセージが残されていた。
"なにをしてるの"
創生計画
二境紋
追え
解らない。
かつての仲間たちが自分に何を伝えたかったのか解らない。ただ意志だけは伝わっていた。
最後に消える前に榊原は言っていた。
「私達は松平四天王。井伊君も含め、皆、共にいると信じていますよ」
その言葉を。
ただ思い出し、そして玄関の遣戸を無理矢理開けると目の前には
……石突き!?
右足を縮める事は間に合わず、仕方なしに無理に動こうとせず、逆に受け、そのまま左腰を上げる事で回転の力を強め、一回転をすることで転ぶことを回避した。
そのままの勢いで右越しに差している短刀を半抜きにして石突きを持っている人間を見る。
「ダっちゃん……」
「老けたなお前───今のを避けれないんだもな。大総長の名も既に老いたか……」
事実である。
だが、今ここで昔の自分ならなどという考えに老けている場合ではない。
この状況で、この場所に、この松平四天王の自分を除けば最後の一人である本多忠勝がいる事が問題である。
「……持っているのは蜻蛉切りか
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