祭の前の静寂
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情を変えてないくせに……!
これがトーリ君や喜美、シュウ君とかなら何の遠慮もなく射っているのだが、マサはそこら辺、まだ狂気度が低いからちょっと打ちにくい。
仕方ないので今度シュウ君を射つことでチャラにしようと思い、弓を収めた。
修羅場の雰囲気を察したのか、密かに鈴さんを連れて離れていたアデーレが戻ってきた。
ちゃっかりしてますね……と思わず半目で見てしまうが、アデーレはまぁまぁと言いながら会話を繋げる。
「やっぱり浅間さん。副長の事が気にかかっていたんですねー」
「……アデーレまで……私ってそんな解りやすいですか?」
「だってあんた。シュウの馬鹿に対しては本気で射っているじゃないさね」
「私の基準はそこですかっ」
というかどうしてそんな事を読み取れるんでしょうか? 修行不足ですか?
そう思ってきっと睨みが周りはにやにやするだけ。
戦況は不利ですねーと他人事のように考えてしまうのは現実から逃れたいからでしょうかと思っていると助け舟が現れてくれた。
鈴さんである。
「で、でも……シュ、シュウ君……いつも……や、優しいよ……?」
覚束ない声で、でも確かに告げる。
その声に私はおろかアデーレやマサですら毒気を抜かれたかのように苦笑する。
鈴さんもその事に付いては気付いているのだろうけど、彼女は彼女で何時もの前髪で目を隠しながらの笑みを見せながら続ける。
「何時、も……皆で、歩くとき……わた、私を、気遣って、ゆ、ゆっくり歩いて、くれるよ……? そ、れはトーリ君も……皆も、けど」
やられたという感じで三人で笑う。
こんな風に言われたら何だかこっちが申し訳なくなってしまう。その評価に私達まで入っているのが逆にくすぐったく感じてしまう。
……よくぞ梅組にいてくれました……!
周りが外道だらけのクラスの唯一の清涼剤!
よくぞあれだけのヨゴレを見ていても、ヨゴレずに済んだものですと本気で慄く。ある意味奇跡のような存在ですね鈴さんは。
……あれ? この言い方だと……自分はヨゴレてしまったと認めているような……?
……何も無かった事にしましょうと勝手に決めた。
「ま、鈴の言う通りさね。そういう意味ならアサマチの男の趣味もそう悪くないという事さね」
「鈴さんの言う事は素直に聞きますね……」
「アサマチ。良い言葉を教えてやろう―――人徳っていう言葉をね」
殴った方が人徳を理解させられるんじゃと思ったけど、鈴さんが目の前でこっちを見ているのでこの場は耐える事にした。
「それにしても……副長。あの後、どこ行ったんでしょうねー」
「あ、そういえばそうですね。シュウ君。あの後、どこに向かったんでしょうね?」
「さぁて……あの馬鹿はかなりの神出鬼没だからね
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