運命を背負いし者
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<ロマリア>
「ふざけんなバ〜カ!」
だが皆の視線を一身に受けたリュカの答えは予想外だった。
誰もが『よ〜し、じゃぁ僕頑張っちゃうよ〜!!』と、何時もの軽いノリで服を脱ぎ出すと思ったのに、罵声を浴びせてきたのだ。
「な…リュカ…そんな言い方…」
「うるさい、よく聞け!………コイツはティミー、僕の息子だ!そして僕達の元居た世界では、伝説の勇者としてこの世に生を受けた…まだ10歳の幼い子供が、世界の運命を背負い、魔界まで赴き魔王を討伐したんだ!」
急に自分の息子の話を始め、呆気にとられる一同…
「まだ遊びたい盛りの子供が、重大な使命を背負い、遊ぶ事を我慢して世界を救おうと自分を犠牲にしたんだ!僕は最低な親だ…大切な息子に重荷を背負わせ、自分は8年間も石になってたんだから…」
「父さん…」
「子供に辛い思いをさせるのは、1回だけで十分だ!エルフと人間との間に、蟠りがある世界で、両種族の間の子を産ませるなんて…お前等自分たちの事しか考えてないだろ!ハーフエルフ…エルフでもなく、人間でもない中途半端な子供。どちらの種族からも忌み嫌われる子供………そんな不幸な子供を作りたいのか!!」
皆、思ってもいない事だった。
そんなつもりはなく、その子を中心にエルフと人間の蟠りを無くす…
それがエルフの女王とロマリア王の考えだったのに…
「父さん…僕は自分が不幸だと思った事はないですよ……父さんの息子で、本当に良かったと思ってますから」
ティミーは泣いていた…
リュカが…父が自分の事を大事に思っていてくれたことに…
「バカ…彼女の前で泣くんじゃない!家族に、友人に、情けない姿を見られても、好きな女にだけは強がって見せろ!」
「………はい」
エルフの女王もロマリア王も、沈痛な面持ちで俯き黙る。
生まれ来る子供への配慮の無さに…
「カルディア…ただエッチがしたいだけなら、僕は何時だってお相手するよ。何だったら、あの時みたいにカリーと3人でだって、僕は一向に構わない…一晩中頑張っちゃうね!でもね、生まれてくる子供には自分の運命を選ぶ事が出来ない!だから辛い運命になる事が明確であるなら、僕はまだ見ぬ子供の為に、その子の誕生を阻ませてもらう」
アルルとティミーは『あの時みたいに』の件を突っ込みたかった…
しかし基本的に真面目な話だった為、その一部分を突っ込む事が出来ずにいる。
その後も、両種族の蟠りを解く話し合いは続いたが、結局は地道に互いの理解を深めて行く事しか出来ないとの結論に達し、リュカ達は解放された。
去り際に『具無しピザ1枚じゃ割に合わない苦労だな!』と、半ば強引に連れてこられた事に嫌味を言ったのだが『では夕食も一緒にどうだろうか!?』と、ロマリア王が瞳を輝かせ誘ってくるので『もうヤ
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