運命を背負いし者
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だよ!夫婦水入らずの時間を邪魔するな!』と、不敬罪を物ともしない捨て台詞を吐き逃げ出したのだ。
「酷い目に遭った………もう夕方じゃんか!」
黄昏色に染まる町並みを、ロマリア城から出てきたリュカは眺め呟ている。
「でも…エルフと人間の間に、蟠りが無くなれば良いですね」
「根が深そうだから難しいだろうなぁ…地道に頑張るしかないんだよ」
ティミーは父の背中を見つめ、此までの事を思い返していた。
何時も不真面目に振る舞う父…
幼い自分が、重くのし掛かる運命に向き合い、真面目に努力している側で、彼は何時もふざけていた…
しかし、それは彼なりの配慮の姿だったのかもしれない。
伝説の勇者という、他の誰のも押し付けられない運命に押し潰されない様に…
父は常に戯けていたのだと思う。
彼がいたから、逃げ出さずに全うできたのだ!
彼がいたから、魔界の魔王に恐れず立ち向かえたのだ!
彼がいたから…
自分は真面目に生きる事しか出来ない……だからこそ、父の生き方を見続けよう!
そう思い、ティミーはリュカの背中を眺めている。
心から尊敬できる偉大な父を…
アルル達は城から出て停泊中の船に帰ろうと歩き始めた途端、仲良くデート中(どう見ても仲良し兄妹にしか見えない二人)のウルフとマリーに出会した。
「あれ?何でお城から出てきたの?お父さん達だけ、お城でお持て成しされてたの?」
「そうなのよマリーちゃん!貴女のお父さんは、この国の王様に気に入られてるから、特別料理をご馳走になってたのよ!」
羨ましがるマリーに、思わず意地の悪い言い方をするアルル。
「ズルイ!私もご馳走食べたかったのにぃ!………何、食べたの?」
マリーはジト目でリュカを見つめながら、お城でのご馳走を問いただす。
「聞いて驚けマリー!僕だけのスペシャル料理『シーフードピザ、魚介類抜き』だ!」
「……………………具は?」
「シーフード…つまり魚介類だ!」
「………抜き…でしょ?」
「抜きだ!」
呆れ返るマリーと爽やかに答えるリュカ。
ウルフはそれが可笑しくてしょうがない。
「何でお父さんは、そんな嫌がらせをされてるの?」
港へ続く城下の道を、アルル達はマリー・ウルフと合流し歩いている…
そしてロマリアからの振る舞いが疑問でしかないマリーは、具無しピザの所以を聞かずにはいられない。
「うん。僕が要望したんだ!………嫌がらせのつもりで」
「へ〜…でも嫌がらせを受けてるのは、お父さんよね!?」
「うん。満面の笑みで、具無しピザを振る舞われたよ!ちょ〜うける〜!」
何故か大爆笑のリュカと、それを見て笑うマリー。
ティミーはそれを微笑ましく眺めているのだが、マリーの心をリュカに奪われないかが心配なウルフは、ヤキモキしながら見つ
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